説教「安息日の歌」礼拝者のセルフイメージ 

2020年2月16日 主日礼拝
聖書箇所:詩篇92編
説教:深谷春男牧師

 わたしどもクリスチャンの生涯は、神の恵みにあふれつつ歩む生涯です。それは、まず、あふれる神の恩寵があって、人間はその恩寵に答えて生きると言うことです。もっと具体的に言えば信仰生涯とは、主イエスの十字架のあがないの業によって、罪赦され、神と和解し、神の子供となり、新しい人生に生きることになったというものです。
クリスチャン生涯のクライマックスは主日礼拝です。

 今日は「安息日の歌」と表題のある詩篇92篇を共にひもどき、安息日に、
われらは何をなすべきなのかを共に考えてみたいと思います。

【テキストの位置と構造】
 この詩篇は、「安息日の歌、さんび」 という表題がついています。この表題によれば、この詩篇は安息日に歌われたようです。ユダヤ人のタルグムやタルムードの書物には、この詩が安息日のために作られたと解説しています。詩篇の構造は、次のようになります。
        表題 安息日に
1- 3節  主をほめたたえよ
4- 6節  主の大いなる御業を思う
7-11節  主に敵対するものは滅びる
12-15節 主に従う者の祝福と繁栄
 この詩篇は、安息日とは何か、礼拝とは何かを教えています。神の民の喜びと祝福を新しい神の民であるわたしたち教会も、学ぶべき内容と思います。

【メッセージのポイント】
1)、1 いと高き者よ、主に感謝し、
    み名をほめたたえるのは、よいことです。
   2 あしたに、あなたのいつくしみをあらわし、
    夜な夜な、あなたのまことをあらわすために、
   3 十弦の楽器と立琴を用い、
    琴のたえなる調べを用いるのは、よいことです。 (1-3節)
  ⇒ 日曜日は、礼拝で主をたたえる日です。
 日曜日の朝、まず、第一にわれらは主を賛美すべきです。
ここには、劈頭に、一語、「善い」という文字があります。直訳するなら「良きかな!」という一語です。これは、ユダヤの「トーブ」という言葉で、良い、美しい、恵み深い、楽しいなどという、肯定的な意味を持つ言葉です。
「良きかな!主に感謝をささげ、御名をほめ歌うことは・・・」と続きます。
主の日にわたしどもはこの礼拝堂に集まりますが、何よりも、まず、喜びの
源である神様を心から賛美せよ、と聖書は教えています。主の日は賛美から
始まるのです。それは楽しい、喜びにあふれ、恵みにあふれ、人間のなしう
る最善のことなのです。礼拝は賛美から始まるのです。賛美には不思議な力
があります。神様は「イスラエル(神の民)の賛美の上に座しておられる」
と言われます。 主をほめたたえるところ、そこには主の臨在があり、人間の
もっとも根源的な姿があります。花が光とエネルギーの源である太陽に向か
って花開くように、わたしどもも、命の源なる主に向かって喜びの声をあげ
るのです。
 日曜日は、「栄光の日、喜びの日」です。主に栄光を帰し、心から讃美する、人生の根源的な、命の回復の日です。
「主を喜ぶことはあなた方の力です」というネヘミヤ8:10の御言葉が
あります。わたしは実にその通りだと思います。新宿西教会の牧師とし、またいろいろなキリスト教団体の方々との交わりを通して主にある交わりを頂きます。恵まれて喜びに満ちておられる方も多いですが、様々試練に直面しておられる方も多いですね。がんの手術をされた方、今は牧師が居ない教会、経済的に困窮している教会。家族が病気です、お葬式です、助けてください。夫婦喧嘩をして離婚の危機にあります、と言うのまで電話が来たりいたします。様々な種類の問題がやってくるととても心配が多くなります。もしも、主を讃えることを忘れてしまうなら、病気にでもなってしまうような気がします。
皆様もきっと同じだと思います。日曜日は解放の日です。喜びと栄光の日です。人間の尊厳と生きる意味は喜びの礼拝から始まります。主を喜ぶことは根本的な人生の変革につながります。「ハレルヤ、主よ、感謝します」との賛美は人生を喜びと積極的な活力で満たします。パウロ先生も言います。 Making melody in your heart.(エペソ5:19)。

2)、4 主よ、あなたはみわざをもって
    わたしを楽しませられました。
    わたしはあなたのみ手のわざを喜び歌います。
   5 主よ、あなたのみわざは
    いかに大いなることでしょう。
    あなたのもろもろの思いは、いとも深く、 (4-5節)
  ⇒ 主の御業を深く思う日としよう!
 わずか2節中で「みわざ」と言う言葉が、3回も繰り返されています。そうです。安息日は何よりも、「主の御業」を思い起すときなのです。
 書店に行きますと、宇宙論ブームに乗って、美しいカラー写真集がアインシュタイン博士のイラスト等と共に書店に所狭しと並んでいます。多くの科学者の説を読むと仰天してしまいます。ビッグバン理論や、ポップコーン理論等によると世界は小さな高質量の物質が10のマイナス36乗、すなわち一秒の一兆分の一の一兆分の一のそのまた百億分の一という短い時間のうちに数億光年にまで爆発的に膨張したのだと言います。
 また、この世界の造り主がわたしたちの救いのために主イエスキリストを下さり、十字架の上でなしてくださった救いの御業、さらに 復活の恵み、安息日はそれらのことを深く思うときです。
ご存知のように、安息日の教えは十戒の中に二つ記されています。
① 神の創造主なることを覚える日(出エジプト20:11)であると言われます。その箇所には、神は7日で世界を創造されたことが記されます。
② 神の救済主なることを覚える日(申命記 5:15)であると語っています。
安息日は、喜びの日であり、栄光の日なのです。それは、神の天地創造の喜びと恵みが再確認され、この世界が、神の善き意志で創造され、良かった、良かった、はなはだ良かった、と再び語られる時なのです。更にこの日は、エジプトで奴隷であった者が、モーセに導かれてそこから解放された、救済と解放の日なのです。安息日は神の創造と救済を覚える喜びの日なのです。
更に、新約の時代になると、聖日は、主イエスの復活を記念する日として礼拝を守ることになります。主の十字架と復活により、神の天地創造も救済計画も完成し、新時代の到来を告げることになるのです。今日ご一緒に賛美しました讃美歌54番の歌詞は特にすばらしいものです。特に、2節に

この日ひかりは やみに照りぬ この日わが主は よみがえりぬ
  この日みたまは 世にくだりぬ げにも栄えある このあしたよ
この日ひかりは やみに照りぬ これは創世記一章の光の創造を示し、
この日わが主は よみがえりぬ これは主イエスの復活の栄光を称え、
この日みたまは 世にくだりぬ これはペンテコステの出来事を示します。
げにも栄えある このあしたよ 日曜日になされた神様の「黄金の御業」
 父なる神の「創造」   = その中の闇を貫く光の輝き、
子なるキリストの「和解」=十字架と復活における福音の栄光の輝き、
聖霊なる神の「救いの完成」=ペンテコステの日に下された神ご自身の力の付与が歌われています。ここには三位一体の恵みの業が栄光の輝きと共に歌われています。みごとな歌詞なので調べてみましたら、詩の原作者はクリストファー・ワーズワース(1807-1885)という人で、詩人ウィリアム・ワーズワースの甥だそうです。聖日を喜びの日、栄光の日として、心に刻みましょう。代々の聖徒と共に、命をかけて礼拝を守ってゆきたいと思います。

3)、12 正しい者はなつめやしの木のように栄え、
     レバノンの香柏のように育ちます。
   13 彼らは主の家に植えられ、
     われらの神の大庭に栄えます。
   14 彼らは年老いてなお実を結び、
     いつも生気に満ち、青々として、
   15 主の正しいことを示すでしょう。
     主はわが岩です。
     主には少しの不義もありません。     (12-15節)
⇒ 神の民の祝福と成長を覚えましょう!
ここでは特に神の民が二つの樹木にたとえられています。ひとつはなつめやしの木、もうひとつはレバノンの香柏。多くの実を結ぶ繁栄の象徴であるたわわに実ったなつめやし、そして50~60メートルにも及ぶといわれる天を突くレバノンの香柏。これがクリスチャンたちが聖日の礼拝ごとに思い起こすべき自己像であると言います。また、ナツメヤシの木のようだと語ります。神の民は、たわわに実るナツメヤシのように「年老いて実を結び、いつも生気に満ちて青々と主の正しいことを示す」。なぜならわれらは、荒れ野のようなところから、主の家に、神の庭に移植されたからです。アーメン!
 われらの大先輩ジョン・ウエスレーは年老いても青年の若さを失わない人でした。彼は77才の時に「わたしは神の恵みにより、28才の時と同じ健康を楽しんでいる。体重も122ポンドで全く同じ」と語り、80才の時に壮年の元気、84才で「以前よりは早く歩けない。しかし説教も旅行も少しも疲れない」。86才の時「わたしは今や一個の老人である」と語ったが87才の時は「わたしは今や頭から足まで衰弱した。しかし、今も説教し文章も書く」と語ったと言われます。ナツメヤシの木と香柏を思い浮かべましょう!

【祈祷】天の父よ。主日礼拝を感謝します。わたしどもは詩篇92篇にあるように、安息日ごとにあなたを称えます。それは最善のことです。この日、あなたの救済と創造の御業を覚えます。救いの喜びを満たし、ナツメヤシのように祝福され、レバノンの香柏のごとくにまっすぐに伸び行くものとなしてください。わたしたちの救い主、主の御名によって祈ります。アーメン