説教「将来と希望を与える平和の計画」 

2020年3月15日 主日礼拝
聖書箇所:エレミヤ記29:11
説教:深谷春男牧師

 新型コロナウィルスによる災禍のニュースが広がっています。最近のニュースでは、中国の武漢市からから始まったこの災禍は、全世界に広まり13万人の感染と約5000名の死者が出ているとのことです。去る3月11日、青山朝祷会で説教を頼まれました。わたしは詩篇91篇を語りました。詩篇91篇は深い神信頼の詩篇で有名です。こう記されます。
  3節 主はあなたをかりゅうどのわなと、
    恐ろしい疫病から助け出される。
  6節 また暗やみに歩きまわる疫病をも、
    真昼に荒す滅びをも恐れることはない。
  7 節 たとい千人はあなたの傍らに倒れ、
    万人はあなたの右に倒れても、
    その災はあなたに近づくことはない。

 新宿西教会の牧師就任式の朝に、聖書の中で「新宿」という言葉が聖書にあるかないかを探していた時に、詩篇90篇と91篇に、「わたしたちの宿るところは神のもと」という言葉に大変驚き、慰められました。それ以来、わたしは個人的に詩篇91篇は、新宿西教会の聖句と決めて今日まで来ました。今まさに詩篇91篇が神様によって語られているように感じます。
 もしも、この詩がバビロン崩壊の時に歌われたものなら、あらゆる思想、体制が崩壊した時です。千人が傍らに倒れ、万人が右に倒れる激動の時代。神の民は奇跡的に守られるのだとの確信を歌い、新しい時代へと向かう同朋に大きな励ましを与えたことでしょう。今こそ詩篇91篇の時代です。

 わたしたちは、全能の神様の守りの中で、主に信頼して歩みを進めましょう。もちろん、手をきれいに洗ったり、消毒液で清潔にすることや外から帰ったらうがいをすることなど、忘れないで致しましょう。すべきことをして神様に、礼拝をし、生かされて歩むことは大切なことです。

 さて、わたしたちは、教会暦の受難節第三週目を迎えました。この時、主に導かれて、預言者エレミヤの言葉を学んでいます。
第一週目:悔い改めて主に帰れ!初めの愛に帰れと導かれました。
第二週目:分かれ目に立って、行くべき神の道を見つめよと示されました。  第三週目:今日は、エレミヤ29:11の御言葉を学びます。

「わたしがあなたがたに対していだいている計画はわたしが知っている。それは災を与えようというのではなく、平安を与えようとするものであり、あなたがたに将来を与え、希望を与えようとするものである。」
 ここには「神の計画」という主題が記されます。この言葉は、神の福音の本質を示す言葉として、今日はこの聖句を学びたいと思います。

【聖書箇所の概説】
 エレミヤはイスラエルの歴史にとって一番の暗黒時代、「バビロン捕囚」の時代を生き、人々に真実の信仰を指し示した預言者です。エレミヤは、イスラエルの民のかたくなさゆえに、選民失格として、国を失う悲しみの中で、涙を流し続ける預言者でした。レンブラントの描いた「エルサレムの崩壊を嘆くエレミヤ」やミケランジェロの「エレミヤ」はいずれも深い嘆きの預言者の像となっています。しかし、その、歴史の炉で練られ、真実に神により頼むところから新しい世界、「神の歴史経綸の世界」が明らかにされてゆきます。今日の29:11の「平安の計画」や31:31の「新しい契約」です。
 エレミヤ書29章には、エレミヤの驚くべきメッセージがあります。これは、バビロンで捕囚になっている人々へ書かれたエレミヤの手紙です。イスラエルは紀元前597年にバビロニアに国を占領され、主だった人々は捕囚として首都バビロンに連行されました。王や貴族、祭司、軍人、技術者等1万人が捕囚になったと列王記下24章は伝えています。最初の捕囚から4年たった紀元前594年頃にこの手紙は書かれたと言われています。この箇所の内容を学ぶときのキーワードは「神の計画」という言葉だと思います。

【メッセージのポイント】
1)11 主は言われる、わたしがあなたがたに対していだいている計画はわたしが知っている。それは災を与えようというのではなく、平安を与えようとするものであり、あなたがたに将来を与え希望を与えようとするものである。 
 ⇒ 神御自身がしっかりと覚えておられるという計画! 
 今日の説教はこの11節が中心です。ここから説教題も取りました。ここには大切な言葉が、詰まっています。その第一は「わたしが知っている」という言葉です。神様ご自身が、覚えているよと語っています。新共同訳聖書では「わたしは、あなたたちのために立てた計画をよく心に留めている」、と訳されています。真実な神様が、忘れることなく、しっかりとこころに留めているので、必ず豊かに成就するから、あなたもこの「わたしの計画」をしっかり、心にとどめて歩んでほしいと丁寧に約束していてくださるのです。
考えてみると、本当にわたしたちは忘れっぽい存在ですね。日曜日に礼拝にきて、神様からの豊かな祝福を頂いて歩んでいこうと決心をするのですが、一週間のうちには、恵みが薄くなっていたり、消えてしまったり、さまざまなことが起こりますね。
 今年、一月の断食聖会の聖会で、恵まれた米内と言う先生が、「男は怒ったり争ったりしないで、どんな時でも清い手を挙げて祈って欲しい」という御言葉を語ってくださいました。とても恵まれて一年を出発しました。Ⅰテモテ2:8のこの聖句は、小原十三司先生が、毎朝の早天祈祷会の後に締めくくりのようにして語っておられたとのことを別の先生から教えられ、聖霊に満たされ、清い手を挙げて、祈ってゆくべきことを示されたことでした。でも、体調が悪かったり、いろんな予想外のことが起こったりするとこの恵みの世界が消えてしまうことがありますね。
 パウロ先生も自分の心に語りかけるかのように「わたしたちは知っている」という言葉を語られましたね。「オイダメン!」と言う言葉から始まるロマ8:28などは、いつもこころに刻んでおきたいですね。神様の真実な御計画が必ずなると、神様が覚えておられることを、まず、覚えましょう。

2)11 主は言われる、わたしがあなたがたに対していだいている計画はわたしが知っている。それは災を与えようというのではなく、平安を与えようとするものであり、あなたがたに将来を与え希望を与えようとするものである。 
 ⇒ 災いを与えるではなく、平安を与える計画!
 第二番目には、「わたしの計画は、災いを与えるのではなく平安を与える計画」という言葉に注目して見ましょう。バビロン捕囚と言う時代は、本当に大変な時代でした。国が戦争で敗れてしまい、大国バビロニアの軍隊が、獣のように襲ってくるのです。そして、愛する家族を殺したり、尊敬する信仰の友を奴隷にするために連行するのです。共に礼拝した喜ぶの場所、聖なる神殿も破壊され、生きる希望を断たれてしまったのです。古代帝国の残虐な戦争は想像するだけでも、眼をそむけたくなってしまいます。そのような人間の罪と死の支配する世界で、「災い」の中に生きるのではなく、「平安」の内に歩むのです。平安を与える計画ですよと主は語られたのでした。この「平安」という言葉は「シャローム」と言うヘブル語です。新宿西教会のこのビルはシャローム・ビルと呼ばれています。
 主イエス様は、ヨハネ14:27で、十字架にかかられる数日前に、「あなた方に平安を残す」と語られました。それはこの世の与える者とは異なる。それは、父なる神様に罪赦され、神の子となる平安、天国の平安のことです。すばらしい福音の伝道者であり、素晴らしいお茶の師匠でもありました藤尾英二郎先生は、これは「石に綱(14:27)」と覚えなさいと語られました。

3)11 主は言われる、わたしがあなたがたに対していだいている計画はわたしが知っている。それは災を与えようというのではなく、平安を与えようとするものであり、あなたがたに将来を与え希望を与えようとするものである。 
 ⇒ あなたに将来と希望を与える計画!
 神様は「計画」を持っておられます。それは、小さく言えば、わたしたち個人々々の人生に不思議な恵みに満ちた計画を持っておられますし、イスラエル民族にとっても、更に、全人類にとっても「不思議な恵みに満ちた計画」を持っておられます。
 それは、教会の歴史の中では、「恵みの御計画」とか、「恩寵の御経綸」とか「不可思議なる御摂理」とか呼ばれてきました。そもそも「計画」という言葉は不思議な響きを持っていると思います。計画は、一つのことを指すのではなく、いくつかの場面を併せ持つ言葉ではないでしょうか?たとえば「旅行の計画」を立てる時には、あそこに行って、あそこに行ってそれから、次はあそこに行くとか、重要なスポットを複数考えて立案します。
 聖書の中には、神様の「恵みの計画」、重要な出来事が記されています。
①神の愛による天地創造と人間の創造。
②人間の堕罪と、罪と死に支配された人間の歴史。
③呪いの世界を祝福に変える先祖アブラハムの選びと召命。
④奴隷の地エジプトからの脱出と、シナイ山での十戒の授与と契約。
⑤ダビデによる王国の制定。ダビデ契約。
⑥王国の分裂と、選民失格としてのバビロン捕囚。
⑦究極の救いの啓示。イザヤ53章の僕の代贖。エレミヤの新しい契約。
⑧救い主の誕生。クリスマス。メシヤの受肉。
⑨キリストによる十字架と復活による罪と死からの解放。(受難節の主題)
⑩聖霊なる神の降臨と、救いの確信、力の付与。
⑪全民族への福音の宣教と、世界的リバイバル。
⑫救いの完成としての主イエスの再臨と永遠の世界の到来。
聖書全体の語る神の歴史経綸の中を、感謝と喜びを持って歩み行きましょう。エレミヤ29章11節は確実な将来と希望を与える祝福の聖句です。
                           ハレルヤ!
【祈り】

 主よ。今日はエレミヤの「将来と希望を与える平安の計画」を聞きました。あなたの人類や個人への平安の計画を悟らしめ、将来と希望に生きる者とならせてください。全世界に蔓延するコロナウィルスの災禍と戦うすべての人に力を与え、何よりも、全人類の霊の目を開き、あなた御自身の救いの計画、摂理の恩寵を、切に求める者としてくださり、その驚くべき恵み愛の力に生かしてください。主イエスの御名によって祈ります。アーメン