2021年元旦礼拝「神よ、わが心定まれり」詩篇57編 深谷春男牧師

2021年1月1日(金) 元旦礼拝
聖書箇所:詩篇57篇
説教者:深谷春男牧師

明けましておめでとうございます!

2021年、新しい年が始まりました。この新しい年の祝福を共に祈り、神様を礼拝して、1年を初めて行きましょう!

わたしどもの生涯には、苦しみや試練がつきものです。しかし、わたしたちは、その試練の時に何をするかによってその生涯が決まってしまいます。ダビデは、サウルに追われ、ライオンの穴に入れられたかのような試練を経験しました。わたしどもも、試練に対処する姿を学びましょう。試練は、わたしたちに信仰を鍛え、祈りを教え、大きな祝福へと導くのです。 

【 詩篇57篇の概略と区分 】  

 まず、この詩篇の表題から見てゆきましょう。

 「聖歌隊の指揮者によって、「滅ぼすな」というしらべにあわせてうたわせたダビデのミクタムの歌。これはダビデが洞にはいってサウルの手をのがれたときによんだもの」(洞穴での生活を考えるとサムエル上22:1など参照。)まあ、わたしどもの現状とするなら、20年からのコロナの災禍の勢いが増してゆくような時に、まず神の御前から出発するようなものですね。

 解説書を読むと「滅ぼすな」と言う曲は、当時、有名だったらしく、イザヤ65:8の「ぶどうの収穫の歌」と関係があるのではないかと言われます。また、「ミクタム」という名称についても、詳細は不明ですが、詩篇16篇などに使用され、「黄金」の意味と推測されています。アラビア語のカタマ(隠す)、アッカド語のカターム(覆う)などからすると「罪の償いの歌」の意味にもなるそうです。試練の時に支えとなる「黄金の歌」として学びましょう。56~60編がミクタㇺの歌との表題がつけられています。

 

  表題:ダビデがサウルを逃れて洞窟にいた時。

1―  4節     試練:敵の激しい攻撃と迫害の中からの切なる祈り。

      5節      折り返し:神の即位と、全地にわたる栄光を祈り求める。

      6節     勝利:敵は自分で掘った落とし穴に自分で落ちた。

 7―10節    確信:神に心を定めた信仰告白と、黎明(しののめ)を呼び起こすとの賛美。

     11節     折り返し:神の即位と、全地にわたる栄光を祈り求める。

【メッセージのポイント】           

1)、1 神よ、わたしをあわれんでください。

    わたしをあわれんでください。    (1節a)

  ⇒「憐れみたまえ」と、まず、祈れ!

 「憐れんでください。神よ、わたしを憐れんでください」と2回(ホンネ-ニ エロヒム ホンネーニ 」と繰り返される祈りから始まっています。ダビデがサウル王に追われて、非常な苦しみの中から叫んでいるのが如実に示されると思います。彼は圧迫され、死を覚悟せねばならないような状況でした。サウル王と精兵3000人が襲い、彼は圧迫されて、死の覚悟をせねばならないような切なる情況でした。多民族の抗争や、大国の奴隷のような当時のイスラエルにとってこのような危機は頻繁に起こったのではないでしょうか。ダビデは「わたしと死の間は一歩です」とも歌っています。

  ここには自分の醜さや愚かさを知っている神の民の、慈愛の神への深き信頼が基礎にある、真実な祈りなのです。「主よ、憐れみたまえ」の祈りは「キリエ、エレイソン」の祈りとして、長く教会の歴史の中に用いられてきました。一見すると、弱々しく見えるこの祈りですが、この祈りは、フランシスコ会の礼拝の形式だったと読んだことがあります。「主よ、あわれんでください」の祈りは、なんとなく弱々しく見えるのですが、イグナティウス・ロヨラやフランシスコ・ザビエルの時と同じように、神様への深い信頼に満ちたこの祈りは、世界を覆す力があるのです。

 

2)、わたしの魂はあなたに寄り頼みます。

   滅びのあらしの過ぎ去るまでは

   あなたの翼の陰をわたしの避け所とします。

  2 わたしはいと高き神に呼ばわります。

   わたしのためにすべての事をなしとげられる神に

   呼ばわります。         

  3 神は天から送ってわたしを救い、

   わたしを踏みつける者をはずかしめられます。〔セラ

   すなわち神はそのいつくしみとまこととを

   送られるのです。       (1節b ~3節)

  ⇒ 試練の中にあって、寄り頼み、神を避け所とし、呼ばわれ!

 大江邦治先生は「詩篇講解 わが道の光」という本の中で、このダビデの苦難の中から、勝利の秘訣は特に、この1節~2節の中にあることを強調しておられます。わたしたちが、社会生活の中で、経験する試練の時に、

①神に寄り頼み、神への信仰のことです。

②神の御翼の陰を避け所とすること。

③神に呼ばわること。

 と教えています。この世界の、どこにも信頼を持てないような厳しい状況の中にあっても、永遠の神、天のお父様に信頼することができることを教えています。四方八方が塞がったように見えても、天は開いているのです。石の枕で野宿をしたヤコブが愛の神に出会ったように、祈り求めるときに神御自身が出会ってくださるのです。み言葉を通して、神様への絶対の信頼を与えられましょう。

 また、ヒヨコが、外で恐ろしい敵に襲われた時に、母親の翼の陰に逃げ込むように、その温かい、恵みの世界で、わたしたちも平安を経験し、傷ついたところがあれば、癒しを体験してゆくのです。それは、神様を礼拝する場所です。

 また、その所で、わたしたちは熱心に神に祈り、賛美し、神に呼ばわることができるのです。2節には2回も、神の呼ばわるのですと表現しています。

 

 ⇒ 神の天からのプレゼントは「いつくしみとまこと」。

 ここでは、神様はわたしたちの世界に、救いの恵みをプレゼントしてくださることが語られます。この詩篇57篇でいえば、「我をあわれみ給え」という祈りへの答えをくださるというのです。その特別のプレゼントは「慈しみとまこと」であると表現されています。この「いつしみとまこと」は、「へセドとエメス」という言葉で「神さまの愛と真実」を意味しています。ある先生は、この詩篇は「いつくしみとまこと」の詩篇で、この人間を根本から支える「愛」と、岩の様にしっかりと支えてくださる「真実」を、待ち望んだ詩篇だと言います。そしてそれは、新約聖書のヨハネ福音書1:17の「恵みとまこと」はイエスキリストを通して来た」と教えています。聖書全体から見れば、それは、神の独り子、主イエス・キリストを指し示すことになります。神の救いが現された。それは愛と真実の御人格である主イエス御自身であるというのです。その中でも、主イエスのなされた救いの業、十字架と復活を指し示しているというのです。人間の罪と死を滅ぼし新しい神の支配と勝利を示したのは、実に、主イエスにおける神の救いの業でありました。サタンは主イエスのかかとを砕き、勝ったと思ったけれども、実は、その神の御子の十字架のあがないにより、サタンの頭は砕かれ、サタンのとげである罪と死は砕かれてしまったのでした。ハレルヤ!

 今や、「いつくしみとまこと」はやって来ているのです。

  そして、10節でも、もう一度、

  「あなたのいつくしみは大きく、天にまで及び、

   あなたのまことは雲にまで及びます。」と宣言されます。

 ここでは、「人生の逆転」が歌われます。ライオンの穴に投げ入れられたような状態でも、主は不思議な奇跡をおこない、ライオンの穴のダニエルの様に、不思議な奇跡を主はなされる。罠をもうけて、自分おとし入れようとしたものが、自分の墓穴に落ち込んだ。神の、正義の支配は驚くべき出来事となって現れます。主の前に怖れと遜りをもって歩んでまいりましょう。

 

3)、7 神よ、わたしの心は定まりました。

   わたしの心は定まりました。

   わたしは歌い、かつほめたたえます。

   8 わが魂よ、さめよ。立琴よ、琴よ、さめよ。

   わたしはしののめを呼びさまします。     (7~8節)

 ⇒ 心を定まれり!あなたから始まるリバイバルを確信せよ!

  「わが心、定まれり、神よ、わが心、定まれり。

   われ歌いまつらん、たたえまつらん。

   わが魂よ、醒めよ、筝よ、琴よ、醒むべし、

   われ、黎明(しののめ)を呼び覚まさん。」(7、8節 文語訳)

 ここには、神の勝利を体験した者の確信が歌われます。今まで、迷っていた心を、はっきりと神の勝利の業に定め、不動の確信を持って、ダビデは自分の魂に呼びかけ、全世界への広がるリバイバルを確信して賛美しています。ここに信仰者の勝利の姿見ることができる。

  1971年2月12日の朝。わたしは、この言葉によって献身へと導かれました。これと同じ句は、詩篇108篇の冒頭にあります。当時、21歳だった、わたしの心には、様々な人生への期待がありました。絵画や、政治的な解放運動や、恋愛・・・等々。しかし、青春の挫折を経験して、わたしはようやく目覚めました。矢内原忠雄先生の「嘉信」から詩篇108篇の巻頭言。なぜ献身の生涯に歩まないのか!この言葉によって、迷いから覚めるように、はっきりと主に心を定めて立ち上がりました。東京北区神谷の友愛マンションの一室、21歳の時でした。これは、わたしの献身の聖句でもあります。

【祈祷】 天の父よ。2021年の元旦礼拝を感謝します。またこの朝、詩篇57篇より「神よ、わが心定まれり、わが心定まれり、われ歌いまつらん、たたえまつらん。わが魂よ、醒めよ、箏よ 琴よ、醒むべし。われ黎明を呼び覚まさん」との御言葉を感謝します。試練のただ中にも「主のあわれみ」を求め、「あなたの送られた「いつくしみとまことの主イエスを知り」、ついに、「わが心定まれり!わが心定まれり!」との恵みの中に導いてくださいました。主よ、この一年、「主の大いなる勝利とリバイバルの祝福」を確信して立ち上がる者として下さい。主イエスの御名によって祈ります。アーメン