聖霊降臨節第六主日礼拝説教「最初の七人の役員?」 使徒行伝6:1~7 深谷美歌子牧師

2021年6月27日(日)聖霊降臨節第六主日礼拝
聖書箇所:使徒行伝6:1~7
説教者:深谷美歌子牧師

 6月23日は沖縄の「慰霊の日」でした。日本軍の組織的戦闘が終わった日、特に動員された「ひめゆり学徒隊」の自決等、何年経っても忘れられない日です。

 また、26日は、私達が所属している「ホーリネスの群」の弾圧記念日です。

この日は1942年と1943年、治安維持法に違反した嫌疑で、日本基督教団第6部と9部の牧師124名が一斉検挙され、教会は礼拝禁止となりました。獄死者7人が出ました。終戦と共に、国が免訴と言う形で終わりましたが、一番近くの聖日を弾圧記念日として、聖会を持っています。 

 代々の信仰者が信仰を全うするために、試練の中を通ってきました。前回はむち打ちを受けた後も、み言葉を昭代教会の初代教会の使徒たちの姿を学びましたが、今日の箇所は、この後も起る迫害の記事に挟まれたようにして、迫害ではなく、教会内部の課題が克服されたことが記された箇所です。

【今日の聖書箇所の概説】

1-3節 ギリシャ語のやもめから苦情が出、7人の世話人の選出の提案となる。

4節  使徒達は「もっぱら祈りとみ言葉の御用」に当たることにする。

5-6節 会衆が賛同し、7人を選び出し、使徒達は祈って手を置いた。

7節  神の言葉はますます広まり、祭司達も受け入れるようになった。

 

1)食卓の課題。7人の選出

1 そのころ、弟子の数がふえてくるにつれて、ギリシヤ語を使うユダヤ人たちから、ヘブル語を使うユダヤ人たちに対して、自分たちのやもめらが、日々の配給で、おろそかにされがちだと、苦情を申し立てた。2 そこで、十二使徒は弟子全体を呼び集めて言った、「わたしたちが神の言をさしおいて、食卓のことに携わるのはおもしろくない。3 そこで、兄弟たちよ、あなたがたの中から、御霊と知恵とに満ちた、評判のよい人たち七人を捜し出してほしい。その人たちにこの仕事をまかせ、

5 この提案は会衆一同の賛成するところとなった。そして信仰と聖霊とに満ちた人ステパノ、それからピリポ、プロコロ、ニカノル、テモン、パルメナ、およびアンテオケの改宗者ニコラオを選び出して、1-3、54節

 初代教会は聖霊なる神様の臨在の中で、恵まれ、いよいよクリスチャンが増えてきました。そうなった時、ギリシャ語を話すユダヤ人から、ヘブル語を話すユダヤ人に対して苦情が出ました。それは、日々の分配のことで、仲間のやもめたちがおろそかにされがちだということでした。

 当時は、やもめなど、弱い立場の人々に裕福な人々が献金、あるいは献品して、毎日の食事が配られていました。

 当時ギリシャ語圏から、人生最後はエルサレムで迎えたいと移り住んだ人々がいましたが、夫に先立たれてやもめになった人々は貧しかったようです。言葉の不自由に加え、少し蔑視も感じられて、この課題が起ったのでしょう。十二使徒は、教会員をすべて呼び集めました。教会始まって以来の初めての総会でしょうか?そして「わたしたちが、神の言葉をないがしろにして、食卓のことに携わるのはおもしろくない。それで、兄弟たち、あなたがたの中から、聖霊と知恵に満ちた評判の良い人を七人選んでください。彼らにその仕事を任せましょう」と提案しました。問題そのものを検討すると言うよりも世話人を提案しました。7人は相応しい人数だったのでしょう。

 弟子(教会員)一同がこの提案に賛成し、信仰と聖霊に満ちている人ステパノ以下7人が選ばれ、使徒たちの前に立たされました。使徒たちは、祈って彼らの上に手を置きました。教会のいわば、役員会の成立ですね。この方々が教会のさまざまな御用をしました。食卓と訳された言葉は、会計などとも訳されることばです。会計役員もいたのでしょうね。

 成長してゆく教会ではいろんな課題が起こります。彼らは、それを乗り越えるために、この7人を選びだしました。その結果は、更に豊かな祝福を得ることとなりました。教会が誕生して、それまでは12使徒が全部扱ってきたのですが、人数の増加と共に組織化が必要となりました。そして、12使徒とは違った、第二世代の指導者の選出となったのでした。

 この記事を学びながら出エジブトの18章を思いました。エジブト脱出以来、民の課題をモーセ一人が裁いていました。舅のエテロは、神を畏れ、有能で誠実な千人の長、百人の長、十人の長を定め、細かい事件はかれらに任せ、モーセは神に事件を述べ、民の歩む道を教えなさいと提言した時のです。

東京聖書学校吉川教会には、赴任した時すでに、10人ほどの小グループがありました。一年間このグループで、新宿西のコイノニアのような集りをもっていました。教会は神の家族ですが、あまり大家族では交わりからもれる方が出ますね。

2)御霊と知恵とに満ちた、評判のよい人たち

 そこで、兄弟たちよ、あなたがたの中から、御霊と知恵とに満ちた、評判のよい人たち七人を捜し出してほしい。選び出して、6 使徒たちの前に立たせた。すると、使徒たちは祈って手を彼らの上においた。3節a 6節

 使徒行伝は、「聖霊行伝」とよく言われますが、聖霊なる神様が、一人一人の信仰者を通してすばらしい働きをなさった記録です。

 このとき教会のリーダー達の選出の基準は、あなた方の中から「聖霊と知恵に満ちた評判の良い人」でした。そして「聖霊と知恵に満ち」「信仰と聖霊に満ち」た人々が選ばれました。

 聖霊によらなければイエスを主と言うことはできない。1コリ12:3とありますから信仰者は聖霊を迎え入れているのは確かでしょう。でも「満ちている」ことが条件でした。この事を言い換えれば、心の主権を聖霊様に譲って、聖霊があふれているということです。

 広島で牧師をしていた植竹利侑先生は召されましたが、神学生だった時、もう一人の神学生が、怠けているのに牧師が褒めた時、むらむらと怒りがこみあげてきたそうです。救われたと言っても自分のうちにある嫉みに気がつき、それを克服するために断食とか祈りをして、結核になり、家にいったん帰ることになりました。その時、星野栄一先生が手を置いて祈ってくれ「今より後、汝の内にありて我は主なり」のお言葉を宣言された。頭の先から足の先までズーンと何かが通ったそうです。帰りの電車の中で嬉しくてうれしくて泣けたそうです。子供が不思議そうな顔をして見ているので、「大丈夫、お兄ちゃんは嬉しくて泣いているんだから」と言ってあげたとお聞きしました。それ以来、この喜びに生き続けている。と証しされていました。聖霊に満たされた経験でした。

 評判の良いとは、「証しされた」とも訳せる言葉です。周りから見ても聖霊に満たされていると解る人々だったということです。

 このできごとを説明して、教会の指導者は下から選ばれた。と言っている方があります。確かに信徒が、お互いを知っていた仲間から、証しされて選ばれましたから、下からともいえるでしょう。けれども、按手によって上から任職されたのだともいいます。旧約時代から任職の時には、按手がされてきました。神様から信任されたと信仰持ってお受けしたことでしょう。

 

3)もっぱら祈と御言のご用に当ることにしよう。

 わたしたちは、もっぱら祈と御言のご用に当ることにしよう」。4節

 使徒たちは祈りとみ言葉の御用に専念できることとなりました。

 最初の聖霊降臨以来、最高法院に立たされた時も、また捕えられ、天使に助け出された時も、また捕まって、ムチ打たれて「あの名によって語るな」と脅されても、大胆にみ言葉を語り続けてきた使徒達でした。それこそが人々に一番必要なことだと解っていたからです。最初の捕らわれから帰ってきたときも、仲間の所に帰り、祈った言葉は「29 主よ、いま、彼らの脅迫に目をとめ、僕たちに、思い切って大胆に御言葉を語らせて下さい」でした。31 彼らが祈り終えると、その集まっていた場所が揺れ動き、一同は聖霊に満たされて、大胆に神の言葉を語り出したのでした。教会の使命はこの福音の言葉を告げる事です。リモート礼拝になってこのことが明確になりました。

 そしてこの働きのために祈ります。

 イエス様も地上を歩まれた時、よく一人で祈られました。神であられましたが、全き人間として歩んでくださったのでした。ですから常に、祈り、導きと助けをいただいて歩みました。そして、世を去る日が近いことを知ったとき、弟子達に「12 よくよくあなたがたに言っておく。わたしを信じる者は、またわたしのしているわざをするであろう。そればかりか、もっと大きいわざをするであろう。わたしが父のみもとに行くからである。13 わたしの名によって願うことは、なんでもかなえてあげよう。父が子によって栄光をお受けになるためである。14 何事でもわたしの名によって願うならば、わたしはそれをかなえてあげよう。ヨハ 14:12-14と言い残されました。

 弟子達は聖霊を受けた後は、「主の名によって大胆にみことばを語らせてください」と祈りました。

 私達クリスチャンは、神の子とされたのです。イエス様の名によって祈ることは何でもかなえてあげようと約束されています。「求めても与えられないのは、快楽のために使おうとして、悪い求め方をするからだ。」ヤコブ4:3ともありますが、大胆に神様の業を期待してお祈りしたいと思います。

 本当に感謝していることですが、新宿西教会は、役員の皆さまはじめ、教会スタッフ、教会員の皆様が、教会の業をみんなで担ってくださることです。この歳では、教会の細かい働きを期待されてもでききれません。有給(わずかではありますが、)スタッフもいてくださって、平日も詰めていて,来客の接待、月報、週報の製作、印刷、発送、お掃除から、誕生カード、ビルの蛍光灯から、教会前のトラクト、看板はり、など、気を配ってくださいます。今はコロナで、リモートの御奉仕のお陰で、共なる礼拝ができます。礼拝の後はみんなでお掃除とか、今はお休みしていますが、お昼の美味しいお食事も当番を決めて作ってくださり、楽しい交わりが与えられます。心の友になり、祈り、訪問してくださいます。極めつけは、み言葉の奉仕の為に、朝ごとに、木曜祈祷会に、祈ってくださることです。不十分ではありますが、その祈りを用いて、聖霊様が働いてくださると信じています。

【 祈り 】

 神様。今日は初代教会の課題が起った時、弟子(信徒)全体が総会に参加したこと。ステパノやピリポら7人の働き人が、「聖霊と知恵に満ち」「信仰と聖霊に満ち」ていて選ばれたこと。それで祈り御御言葉が中心に据えられ、教会の業が益々進んだ記事を学びました。 私達も「聖霊に満ちた」勝利の証し人としてお用い下さい。主の御名によって。アーメン