聖霊降臨節第18回主日礼拝(教会修養会開会)説教「この岩の上に教会を建てる」マタイ16:13~19 深谷春男牧師

2021年9月19日(日)教会修養会開会礼拝
聖書箇所:マタイ16:13~20                       
説教者:深谷春男牧師

「あなたこそ、生ける神の子キリストです。」     マタイ16:16

  今日は愛する兄弟姉妹と共に、「教会修養会」の一日をもつことができて感謝します。今年の主題は「私達の教会のルーツを探る~教会の歴史」です。YouTubeのライブ配信でも礼拝に引き続き送信いたします。共に教会のことを共に学んでゆきたいと思います。

 わたしたちの新宿西教会の歴史を考えると、1954(昭和29)年12月18日に日本基督教団から、「日本基督教団新宿西教会」として認可されました。この日が教会の創立日です。今年、2021年12月18日を迎えますと、教会創立67周年。2024年に創立70周年を迎えることになります。

 しかし、新宿西教会の歴史を遡りますと、1910年(明治43年)日本基督同胞教会の任命を受けた27歳の大内文平牧師が開拓伝道を始め、やがて「大久保教会」が設立されました。その時からのの歴史から数えると111年以上の歴史を持つことになります。

 また更に、その歴史を辿ると、1859年、幕末期に宣教師が米国やヨーロッパからやってきて、禁教令の高札が立っている中で伝道が始められました。

 いやいや、教会の歴史を辿るならばわたしたちの教会の歴史は、使徒行伝2章のエルサレムでの、ペンテコステ出来事にその原点を置かねばなりません。教会の歴史を物語ることはじつに楽しいことですね。今日は午後の時間に2000年のキリスト教会の歴史、そして1517年に宗教改革、プロテスタント教会の成立以来、500年の歴史を共に学んでみましょう。感謝です。

 【今日の聖書箇所の概説】 

 この礼拝は、いつもの主日礼拝でもありますが、修養会の開会礼拝も兼ねております。それで、わたしたちはまず、主イエス様が「この岩の上に教会を建てよう!」と語られた、この有名な箇所を学ぶところから始めましょう。 

 「鍵」というものは不思議なものです。誰が発明したのでしょうか?

 現代の生活において「鍵」は欠かせないものです。わたしたちの持っている鍵もいろんな種類があります。①金庫の鍵。②家の玄関の鍵。③車や自転車の鍵。④パソコンのインテーネットのIDパスなども鍵の一種?(これがないとインターネットも開けない)。⑤キーワード(鍵となる語)、キー・ポイント(重要な鍵となる点)、キー・パーソン(鍵を握る人物)という表現もあります。さて、今日の聖書の中には、主イエス様が語られてた「天国の鍵」という言葉があります。たとえて言えば、人生はひとつの謎です。あるときに、ひとつの問題が起こり、目の前に大きな青銅の扉がどーんと立って道をふさいでしまう。

 人生に意味はあるのか?

 人生の苦難を解決しうるのか?

 人間の死の問題はどこに解決があるのか?

 天国の門が開いて、神様の恵みと祝福の中を歩みうるのか?

 この困難な青銅の大きな扉。押しても引いてもびくともしないようなこの人生の難問に、今日の聖書の箇所は、「天国の鍵」を与えると語るのです。力持ちの大人が何人で押してもびくともしない青銅の扉も、鍵を差し込んで、カチャリと回せば、小さな子どもでも開けることができるのです。

【この聖書箇所の概略】

 今日の聖書箇所は「ピリポ・カイザリヤの告白」として、大変有名な箇所です。そして、この記事はマタイ福音書のほぼ中央にあり、また重要な位置を持っております。主イエスのガリラヤ伝道も終わり、この聖書箇所から、主イエスはエルサレムを目指して、あのゴルゴダの十字架を目指してまっすぐに進むことになります。ピリポ・カイザリヤの町は異教的な雰囲気の町だそうです。現代日本の文化的な状況と似ていると言われます。ここには古代シリアの神殿が点在し、ギリシャのパン神の出生の地と言われ、ヨルダン川の源泉と言われる洞窟があり、さらに白亜のカイザルの神殿がそびえていたと言われます。主イエスはこの異教的な町の真ん中で弟子達に尋ねられました「人々はわたしを誰と言うか?」。「また、あなた方はわたしを誰と言うか?」わたしどももまた、混乱した現代の日本のただ中で、主イエスの問いかけに明確に答えねばなりません。

 

【メッセージ・ポイント】

1)13 イエスがピリポ・カイザリヤの地方に行かれたとき、弟子たちに尋

ねて言われた、「人々は人の子をだれと言っているか」。14 彼らは言った、「ある人々はバプテスマのヨハネだと言っています。しかし、ほかの人たちは、エリヤだと言い、また、エレミヤあるいは預言者のひとりだ、と言っている者もあります」。   (13,14節)

⇒ ピリポ・カイザリヤでの告白。

さて、主イエスは、ピリポ・カイサリヤ地方に行ったとき、弟子たちにお尋ねになりました。「人々は、人の子のことを何者だと言っているか?」。弟子たちはこのように言いました。

「『洗礼者ヨハネだ』と言う人もいます。」 「『エリヤだ』と言う人もいます。」

「『エレミヤだ』という人もいます。「『預言者の一人だ』と言う人もいます。」

あの偉大な預言者、洗礼者のヨハネが、死からよみがえってきたという人。

旧約最大の預言者、バアルの預言者800人を相手にカルメル山上で戦いを挑み、天から火を降らせ、大雨を来たらせとエリヤだという人もいます。

また、イスラエルの背信を嘆き、嘆きのために目がつぶれたという真実の人エレミヤのようだ、という人もいます。また、昔の偉大な預言者の一人という人もいます、と答えたのでした。

 すると、主イエスは最後に問われました。「それでは、あなたがたはわたしを何者だと言うのか?」

 最終的に、わたしどもへの質問は、この言葉です。「それでは、あなた方はわたしを何者だと言うのか?」つまり、「人々の噂はわかった。それはそれで、好きなことを言わせておけばよい。しかし、あなたがたは、わたしをなんと理解しているのか?」と。これは混乱した現代のわたしどもへの問いです。

 

2)16 シモン・ペテロが答えて言った、「あなたこそ、生ける神の子キリストです」。17 すると、イエスは彼にむかって言われた、「バルヨナ・シモン、あなたはさいわいである。あなたにこの事をあらわしたのは、血肉ではなく、天にいますわたしの父である。(16~17節)

⇒ あなたこそ生ける神の子キリストです!      

 これらの質問に対して、弟子たちを代表するペテロは即、答えました。

 「あなたこそ、生ける神の子、キリストです」と。この告白の中に全てがあります。この告白は、個人的な、人格的な、自分の精一杯の真実をこめたペテロの告白です。そして、この告白は、教会の告白であります。それは教会を代表したペテロの告白であり、代々の教会の告白でもあります。

 新共同訳では「あなたはメシア、生ける神の子です」と訳しています。メシアとは「油注がれた者」と言う意味のヘブル語です。ギリシャ語訳が「キリスト」となります。ユダヤでは、王と祭司と預言者が任職式の時に油を注がれてその職務についたことからこう呼ばれました。だからペテロの告白は、より丁寧に言うとこうなります。「あなたは永遠の命を持たれる神の子です。あなたこそわたしの心の支配者なるまことの王、わたしの罪を執りなして下さるまことの祭司、神の意志を伝えるまことの預言者であることを信じます」となります。

 この告白に対して主イエス様は、大変喜ばれて、イエスはお答えになった。「シモン・バルヨナ、あなたは幸いだ。あなたにこのことを現したのは、人間ではなく、わたしの天の父なのだ。」と語られました。この信仰告白は天の父からの賜物なのだ!決して人間の力ではないのです。

3)18 そこで、わたしもあなたに言う。あなたはペテロである。そして、わ

たしはこの岩の上にわたしの教会を建てよう。黄泉の力もそれに打ち勝つことはない。19 わたしは、あなたに天国のかぎを授けよう。そして、あなたが地上でつなぐことは、天でもつながれ、あなたが地上で解くことは天でも解かれるであろう」。(18、19節)

⇒ 天国の鍵を与える!               

今日の聖書の言葉によれば、人生を開く鍵、天国を開く鍵があるのです。この「鍵」無くしては、天国の扉は開かない。また、これさえあれば子供でも大きな青銅の扉でさえ開けることが出来る。神の救いと愛、永遠の命が支配する喜びの生涯へと開く「キ-・ポイント」はどこにあるのでしょうか?

 主イエスはこのペテロの告白を喜び「あなたはペテロ(岩の意味)である。わたしはこの岩(ペトラ)の上にわたしの教会を建てよう。陰府(ハデス=死者の国)の門もこの信仰に打ち勝つことはない」と語られました。陰府(ハデス)は死の力を意味し、人を呑み込こんだら、決して放さない絶望的な力を意味しています。生ける信仰告白の上に建つ主の御教会は実にこのハデスの門を打ち破る力を持つのです。主イエスの十字架のあがないと聖霊の力によってサタンの最後の力(死)はすでに破られたのです!

主イエスはペテロに「天国の鍵を授けよう」と語られました。人生は一つの謎です。それは悩みと困惑に満ちた巨大な扉のようなものです。一体、どうすれば、この不条理の扉が開いて、中から天国のような恵みの世界が広がるのでしょうか?押しても引いてもこの大きな扉は開かない。しかし、主イエスはここで、天国の鍵をペテロに与えられました。主イエスの「神の国」は「天の支配」あるいは「神の支配」の意味で、この現実世界が、神の支配に服し、恵みの神が支配する、愛と命の充ち満ちた世界。磐石の土台の上に建てられた、恵みと愛の世界のことです。

「あなたこそ、生ける神の子キリストです」。この「信仰告白」こそが、天国を開く鍵、実に人生のキーワード、なのです。天国の門は「この鍵」によって開くのです。「信仰告白!」。主イエスへの信仰の告白は陰府の力、サタンの業を打ち砕くのです。今日の御言葉があなたとあなたの人生を変えます。

さて、皆様は「天国の鍵」をお持ちですか?心からの主イエス様への信仰によって、新しい人生は始まるのです。      ハレルヤ

 

【祈り】主よ!修養会開会礼拝でピリポ・カイザリヤでの、ペテロの信仰告白を共に学びました。まさに人生のキーワード、天国の鍵である「信仰告白」を学びました。ペテロと共に、代々の聖徒と共に「あなたこそ、生ける神の子キリストです」と告白し、天国の祝福を自分自身のものとすることができますように!主イエスの御名によって祈ります。アーメン