クリスマス礼拝「世を照らすまことの光」ヨハネ1:1~12 深谷春男牧師

2021年12月19日(日)クリスマス礼拝
聖書箇所:ヨハネによる福音書1:1~12                        
説教者:深谷春男牧師

 ルネ・マグリットという画家の絵に「暗闇の国」という作品があります。黒いろうそくの暗黒の火が、明るい光の世界を支配してゆくというモチーフで、印象深い作品です。しかし、現実には光より強い暗闇というものはありません。暗闇はどんなに深いものであっても光には勝てないのです。真っ暗な、深い暗闇の世界であっても、小さなローソクをともしただけで、暗黒はどこかへ逃げて行くのです。光と闇が、ぶつかった場合、光が闇に勝つのです。なんか、ほっとしますね。

 クリスマス・おめでとうございます!

 アドベント・クランツのろうそくも一本づつ火が灯って今日は4本目となりました。今年はアドベントろうそくの伝統に従って、守り方を意識しました。

第1週は「希望のろうそく」     第2週は「平和のろうそく」

第3週は「喜びのろうそく」     第4週は「愛のろうそく」

クリスマス・イブは「キリストの光のろうそく」。 

   今週のテーマは「愛と光のろうそくですね!」

ヨハネによる福音書は、イエス・キリストを受肉前と受肉後に分けて説明しています。肉体を取って、ベツレヘムの馬小屋に生まれ、人間になられる前は、主イエスは神の「言」(=ロゴス)であり、この御方は、天地創造のはじめからおられた「独り子なる神」であったとこの福音書は語り始めます。

 【メッセージのポイント】

1) 1 初めに言があった。言は神と共にあった。言は神であった。2 この言は初めに神と共にあった。3 すべてのものは、これによってできた。できたもののうち、一つとしてこれによらないものはなかった。4 この言に命があった。そしてこの命は人の光であった。5 光はやみの中に輝いている。そして、やみはこれに勝たなかった。(1~5節)

 キリストは天地創造の神のロゴスである!

 この箇所は天地創造の記事(創世記1:1ー2)とよく似ています。その箇所と照らしあわせて著者は書き始めているようです。その第一は天地創造の初めにロゴスなるお方がおられたという内容です。ロゴスは「言」「道」「論理」「道理」「知恵」「真理」「理性」等様々な言葉に訳されるギリシャの言葉です。「ロゴス賛歌」と言われるこの部分では、一言で言えば「混沌」の反対で、神の秩序、神の論理を意味しています。この世は空虚な混沌ではありません。この世は美しい秩序あふれる神の恵みの最高傑作なのです。世界は神の理性の壮大な創造物であり、醜悪なる空虚な世界とは違います。その原点はキリストの愛と恵みの秩序ある世界なのです。

 主イエスは、神のロゴスであり、神と共にあり、神でもあられます。神さまはこの神のロゴスと共にこの世界をお造りになった。このロゴスに、「命」があり、この命が「人の光」であり、悪に対する勝利の力なのですね。

 2月8日。太平洋戦争の開戦の日。最近は、映像の世界が詳細になり、情報が次々と報道されますね。太平洋戦争の残虐さ、恐ろしい泥沼、アジアの人々2000万人の命と、日本人310万人の命を奪い、おぞましい地獄の様相に、改めて人間世界の「混沌」と「醜悪」に気が遠くなりますね。南方で地獄の日々を送った兵隊さん、韓国や中国の特にクリスチャンを苦しめた神社参拝と偶像礼拝の罪は何とも言葉を失いますね・・・・。

 

2) 9 すべての人を照すまことの光があって、世にきた。10 彼は世にいた。そして、世は彼によってできたのであるが、世は彼を知らずにいた。11 彼は自分のところにきたのに、自分の民は彼を受けいれなかった。

 ⇒ キリストこそ人を照らすまことの光! (9~11節)

 ヨハネはこの先在のロゴスこそ人間世界の暗黒を照らし出すまことの光であることを語ります。どんなに人間の罪や死や絶望的な暗黒さ深淵にあろうとも、神は愛であり、神は光であり、それらの暗黒を打ち破る力なのですね。闇は光に打ち勝つことはできないし、どのように光を拒絶しても、この世の主人はイエスキリストであることを聖書は語ります。ヨハネはこの神の子が私たちの罪を負い、十字架にて救いを成就し、復活して永遠の命を明らかにされたと宣言します。

 今回、この説教のために準備をしている中で、「まことの」光と言うところに特に心が引かれました。ヨハネは15章でも「わたしはまこと」の「ぶどうの木」と、主イエスさまが言われたことを記しています。わたしが、「まことの光」、「まことのぶどうの木」、この「まこと」という言葉が、主イエスこそ、神の遣わした、まことの唯一の救い主であることが強調されていますね。

 ヘンデル作曲によるメサイア。日本では、クリスマスに演奏されますが、ヨーロッパではイースターに演奏されることが多いそうです。11月28日のアドベント特別礼拝で、ベアンテ・ボーマン先生がはなしてくださいました。救い主イエスの御業を讃えるこの曲は、実は、作曲者ヘンデル自身が、主イエスによって癒され、見事に立ち直った証しの作品だったというのです。当時、ヘンデルは破産状態にあり、生活も困窮しておりました。その上、脳出血で倒れ、最悪の状況にあったというのです。ヘンデルの友人のチャールズ・ジェネンズは、落ち込んでいるヘンデルを励ます最高の方法は、彼が全力を注いで、作曲できる台本を書くことだと思い、旧約聖書の預言の成就としてイエス・キリストの降誕・受難・復活を描いた台本を書いて、ヘンデルに送りました。ヘンデルは、その台本によって奇跡的に立ち直って、僅か24日間でメサイアを書き終えたのです。ボーマン先生の話によれば、この膨大な作品は、コピーするだけでも24日位かかる大変な作品だそうですが、食事をその作曲の部屋まで持って行っても、それに手がつけられないほど、情熱を注いで作曲されたもののようです。途中で、彼は何度も、涙を流しながら、この作品を書き上げたそうです。ハレルヤ・コーラスを書いている時も、彼は目に涙をためながら、こう叫びました。「私の目の前に天の国が開かれ、偉大な神ご自身の姿が見えたような気がした!」。あのすばらしい作品ならさもありなんと思います。

 愛する兄弟姉妹。この真の光、まことのぶどうの幹に連なって、主の命の中を歩んでゆきましょう。

 

3)12 しかし、彼を受けいれた者、すなわち、その名を信じた人々には、彼は神の子となる力を与えたのである。         (12節)

 ⇒ 主イエスを受け入れ、神の子となる力を得る!       

 さらにこの12節を読むと、聖書はこの神の独り子、主イエスは「信じ、受け入れなければならない存在なのだ」と語ります。そして、彼を信じ、受け入れたものには神の子となる「特権、資格、力」が与えられていると宣言します。主イエスは尊敬を受ける存在であり、崇められるべき存在であるが、ヨハネはさらに大切なことは、主イエスは信じ受け入れることであると語るのです。

  17世紀の詩人アンドレア・キリキウスはこのように歌っています。「キリストがベツレヘムに千回生まれようとも、あなたの心に生まれなければ、あなたの魂は救われません」。

 今年も多くの方々と交わりを持ち、祈り祈られて過ごしてきましたが、わたしの友人、小学校時代からの仁井田義政先生の書物が出たことが、大きな喜びでした。彼は1歳の時に、家庭の崩壊した中で育ちました。そして、小学校1年生の時にお母さんが亡くなり、お父さんのところに連れてこられて、家庭内暴力を受け、厳しい思春期を過ごしました。しかし、18歳で主イエス様を信じて、人生に大きな変革を頂き、今は牧師としてすばらしい働きをしておられます。神様を信じ、受け入れるときに光の生涯が始まるのですね。

 また、このクリスマス、ある方から、書物のプレゼントを頂きました。「愛は勝利です」という御本。副題がーキリストの愛が織りなす奇跡の人生―とあります。この本は本郷台キリスト教会の、池田登喜子先生とその家族の方々の書かれたすばらしい御本でした。沖縄で育たれた姉妹が、2歳の時、お父様を亡くし、13歳の時から、骨髄炎による7年間の病床生活。貧しさのゆえに医者にもかかれず、痛みと高熱に悩まされ続けた青年期。やがて主イエスを信じて、魂が救われ、肉体も癒しを経験してついに献身、神学校で池田博神学生に出会い、やがて結婚。現在、本郷台キリスト教会の牧師として歩んでおられます。何という恵みの中を歩まれる主の救いの証し人達でしょう。

 また、今日は高橋廣明兄が、聖書キリスト教会から当教会に転入会をします。神の家族としてお迎えしましょう。今年71歳。わたしと同年の兄弟です。シャロームビルの住人です。四月から礼拝はほとんど休んだことがありません。

 まさに今日、このクリスマス礼拝のこの時、わたしどもは聖書のキリストの姿、まことのロゴス、まことの命、まことの光なるお方の姿を見ています。わたしどもの姿が「混沌」「死」「暗黒」に陥りやすい性質を持つがゆえに、いつでもキリストを内にお迎えし、彼を信じて神の子として、永遠の光と祈りを受けた者として、主の福音の証し人として、今日も生きましょう。ハレルヤ

 

【祈り】 愛の御神!今日はクリスマス礼拝を心から感謝します。今日は、主イエスが、神のロゴス、光、命である事を教えられました。今日からはクリスマスの恵み、主イエス御自身を心に迎えて、神共にいます「インマヌエルの生涯」が始まります。いつでも、あなたを見上げて、恵みから恵みへ、信仰から信仰へと歩み行かせてください。今日から教会員となられる高橋廣明兄の上に祝福を、また、後に続く方々、洗礼を受けて、神の子となる祝福の生涯を歩めますように!わたしたちの新宿西教会の上にあなたの祝福を注ぎ、全世界の教会を恵みと力で満たして下さい。新型コロナのオミクロン株からも全世界を守り給え。わたしたちの救い主、主の御名によって祈ります。アーメン