新宿西教会礼拝説教「気をつけていなさい!」   ー小黙示録を読むー マルコ13:1~13 深谷春男牧師

3月20日(日)主日礼拝説教「気をつけていなさい!」

聖書箇所:マルコ13:3~13 

説教者:深谷春男牧師

 16日の夜、11時半過ぎに、地震がありました。翌日、何人かの人から電話を頂きました。東北新幹線が脱線事故を起こし、日本中で、東京でも停電があり、高層マンションに住む方々が、エレベーター内に閉じ込められ、不安な時を持ったなどのニュースを聞きました。被害の大きさにびっくり。

また、2月24日に始まった、ウクライナへのロシアの軍隊の侵攻とミサイル攻撃などのニュース映像を見ると、こちらもびっくり仰天。21世の今、驚くべき非人道的な世界が広がっている。子供が爆撃の犠牲となり、病院や学校にミサイル攻撃で室内に散乱や猛火のアパートや10メールぐらいの大穴。原子力発電所まで砲撃を受けている!コロナウィルスから始まった想定外の出来事が次々と鮮明な映像で届けられるとまさに、現代は、ある意味で「黙示録の時代の到来か?」などと考えてしまいます。

人間の持つ科学技術の分野が飛躍的に増大し、様々な、変化が起こりました。特に近代においては、知識はうなぎ登りに増大し、あらゆる方面で、変貌をとげています。考えてみますと飛行機が発明されてまだ120年です。しかし、今は、驚くべき早さの軍用機がキエフの空を飛び、人々の集まった公会堂に爆撃。広島や長崎に落ちた原子爆弾の何万倍もの原爆水爆などを持つ人類が、狂気の沙汰に陥り、指一本で何万、何十万も人々の命を奪うことのできる破壊兵器をもっている。第三次世界大戦が始まったら、世界は暗黒の世界となってしまいます。

 

【今日の聖書箇所の概略】  

  今日、開かれるマルコ13章は「キリストの小黙示録」と呼ばれるところです。ここはマタイ福音書24章と共に、主イエスが十字架に架けられる前に、弟子達に語られた「終末の預言」です。全体の構造は以下のようです。

1~2節  神殿の崩壊を予告

弟子たちに主イエスが神殿も完全崩壊の時が来ると語られた。

3~8節  終末の前兆

  • にせキリストの出現、6節
  • 戦争と戦争の噂、7、8a節
  • 地震と、飢饉  8節

9~13節 迫害に関する言葉

  • 迫害、しかし恐れるな。語るのは聖霊 9~11節
  • 全世界への福音宣教、10節
  • 背教、裏切り、憎しみ、兄弟や父子が殺し合う、12節
  • キリストの名の故憎まれる。最後まで耐え忍ぶ者は救われる。13節

 【メッセージのポイント】

1)1 イエスが宮から出て行かれるとき、弟子のひとりが言った、「先生、ごらんなさい。なんという見事な石、なんという立派な建物でしょう」。2 イエスは言われた、「あなたは、これらの大きな建物をながめているのか。その石一つでもくずされないままで、他の石の上に残ることもなくなるであろう」。3 またオリブ山で、宮にむかってすわっておられると、ペテロ、ヤコブ、ヨハネ、アンデレが、ひそかにお尋ねした。4 「わたしたちにお話しください。いつ、そんなことが起るのでしょうか。」。

 ⇒ 人間世界の終末について、罪の死の支配を理解しよう。

 マルコ福音書11章を見ますと、主イエス様が子ロバに乗って、エルサレムに入場されたことが記されます。多くの民衆が自分の上着を道に敷き、棕櫚の葉を手に取り、「ホサナ、ホサナ」と叫んで、主イエスを迎えました。

エルサレムに入って3日目の夕方頃に、主イエスの弟子たちは、神殿の立派な建物、その大きな石に驚き、主イエスに、「先生、何とすばらしい神殿の建物でしょう!」と問いかけたところから、この小黙示録の話が始まったと語られています。ガリラヤから来た弟子たちはエルサレムの神殿の壮大さに感動!しかし、主イエスは、人間の世界の栄華や権勢のいかにはかないかを知っておられ、人間世界の営みの限界を語られました。「その石もすべて、完全になくなってしまうのだよ!」。主イエスは、紀元70年のエルサレム神殿の崩壊と更に続く、世界の終末、キリストの再臨について話しました。

 ユダヤの人々は、かなり深く人間の本性と歴史を理解しておりました。創世記3章以来、人間は神様と断絶し、罪と死の支配ヘと落ちて行きました。3章は神との断絶、4章は妬みによる兄弟殺しアベルとカインの物語。5章は死の到来。6章からはノアの洪水、即ち、神様から離れた人間世界は、「乱れと暴虐」(6:11)の洪水となり、神様は人間の本性に絶望し、世界を洪水で覆われた。人間世界は、罪と死の滅びであるがゆえに、恐るべき終末を迎えることが、聖書のはじめから記されます。それは呪いの世界であります。これを祝福に造り変える人物としてアブラハムが登場し、神への信仰による祝福の世界、人類救済の希望を語ることになりました。それが旧約聖書でありました。しかし、神の救いを目指したユダヤ人も最後は人間の限界に直面し、神の救いの世界を形成するには至りませんでした。そして世界は、エジプト、アッスリア、バビロン、ペルシャ、ギリシャ、ローマと大帝国が支配しますが、どこも混乱の世界で救いは成就しません。ご存じのように、神様は独り子主イエスを送って、信仰による救いを成就したのでした。主イエスの十字架の贖いにより、主イエスを信じる信仰により、人は罪赦され、義とされ、永遠の命を受けるのです。

 

2)5 そこで、イエスは話しはじめられた、「人に惑わされないように気をつけなさい。6 多くの者がわたしの名を名のって現れ、自分がそれだと言って、多くの人を惑わすであろう。

 ⇒ にせキリスト、にせ預言者に気をつけよ!

 主イエスが世界の終末について語り始めるときの第一の主題は、霊的な混乱についてでありました。これは、「にせキリスト、にせ預言者の出現」と言うことです。これはとても大事なことです。

現代は、終末の時と言われますが、多くの「にせキリスト」「にせ預言者が現われています。三大異端と言われる「統一協会」「モルモン教」「エホバの証人」。さらにゆがんだ「異端の教え」は、現在も名前を変えたり、ネットでも怪しげな活動をしております。

昨年の9月に東京聖書学校で、韓国の先生をお招きしまして「現代韓国の異端について」の特別講義を受けました。巧みなマインド・コントロールをもって、とんでもない教えを語る現代の異端の働きが30以上の団体の説明を受けました。聖書のゆがんだ解釈と倫理的問題点が語られました。少しおかしいと思ったときにご相談下さい。

 

3)7 また、戦争と戦争のうわさとを聞くときにも、あわてるな。それは起らねばならないが、まだ終りではない。8 民は民に、国は国に敵対して立ち上がるであろう。またあちこちに地震があり、またききんが起るであろう。これらは産みの苦しみの初めである。

 ⇒ 戦争、民族、国家間の紛争、地震、飢饉 = 産みの苦しみのはじめ

 今年の2月24日から怒った、ウクライナへのロシアの信仰と武力攻撃は、3週間を越えました。戦争当事国の事情は、複雑なものがありますが、1つの国の主権や自由な決断に、暴力を持って介入することは許されません。一昨日のウクライナからの報告では、100人以上の子供が殺害されたと報告がありました。戦争、民族、国家間の紛争、それに地震、飢饉が多く起こる。それは生みの苦しみのはじめであると言います。

 

4)9 あなたがたは自分で気をつけていなさい。あなたがたは、わたしのために、衆議所に引きわたされ、会堂で打たれ、長官たちや王たちの前に立たされ、彼らに対してあかしをさせられるであろう。・・・・・11 そして、人々があなたがたを連れて行って引きわたすとき、何を言おうかと、前もって心配するな。その場合、自分に示されることを語るがよい。語る者はあなたがた自身ではなくて、聖霊である。・・しかし、最後まで耐え忍ぶ者は救われる。 

 ⇒ 迫害をも体験する。聖霊により頼め!

 多くの方が救われ、世界中に主イエスを信じる者が起こされる時、わたしたちは試練や迫害も起こることを肝に銘じておかねばなりません。

第二次大戦中に、原田要蔵先生の満州での投獄体験をご紹介します。

昭和十八年三月に一応保釈となった。しかし、また一九年九月に第二回目の召還を受けた。未決監に収監された初日は、恥ずかしいことながら気も狂わんばかりに悩んだ。独房のドアがいったんピシャン閉ざされた以上は、いかに泣いてもわめいても、自分の都合、要求では絶対開けてもらえない。時は戦時下である。外地である。未決囚の一人や二人死んだところで問題ではない。満州の冬は零下何十度である。残した家族に、自分に、どのような異変が起ころうとも連絡の道がない。そんなことを考えて本当に苦しんだ。ところがその翌日、はっと気づかされた。「私が伝道者に召されて一五年。しかるにこの程度の弾圧でこのように悩み苦しむとは、私の今まで伝えてきた福音は偽物であったのか。今迄に導いた信者、求道者に、申し訳ない。」私ここでわれに返り、それより捨て身になって祈り出した。「主よ、もし許されてここを出る日がありますならば、証しのため凱旋将軍のように喜び輝いて出られますように」と。 それから聖書を読み祈りに打ち込み、数日後には「広大無辺、はかり知ることのできない御慈愛と憐れみに感謝します」と呼びかけることができた。夜中にも「イエスの聖、イエスの愛、海の如く寄せ来る・・」と歌いつつ感激のあまり泣き続けました。

 

【祈祷】 天の父なる神様。わたしたちは現在、自分の置かれているところは、恐ろしいところだと思います。ロシアがウクライナに侵入し、民衆の虐殺や幼い子どもたちを殺害していると聞いて、何ともいたたまれない思いになります。このような、黙示録のような時代をわたしたちは生きています。このような時にこそ、わたしたちの霊の目を開き、聖書の語るメッセージに耳を傾けつつ、自分自身の霊的な生活を整え、キリストの花嫁として御前に立つことを覚えさせて下さい。あなたの贖いの業、救いの計画の完成を思い起こしつつ、あなたの恵みの世界を最後まで歩み行かせて下さい。それにしても、ウクライナの方々の自由と命と尊厳を守り、暴力を持って他国を侵略するような軍隊を速やかに撤退させて下さいますように!平和の君であり、救い主である、主イエスキリストの御名によって祈ります。アーメン