新宿西教会主日礼拝説教「いと高き方の住まい」使徒行伝7:44~50 深谷美歌子牧師

4月24日(日)主日礼拝説教「いと高き方の住まい」

聖書箇所:使徒行伝7:44~50 

説教者:深谷美歌子牧師

 私は、ステパノの、この個所を読む時、わたしの知ってる歴史だ、と思ってサッと読み飛ばしていましたが、自分が取り次ぐために細かく学んで、ステパノがきちんと意味を持って語っていたことが、よくわかってきました。

ステパノは、これまで、信仰の父アブラハムから始まった、神の民の歴史、モーセを通して与えられた律法が、イエス様によって完成したと語ってきました。

今日の聖書個所は、ユダヤ人指導者たちが、神殿こそ神聖で恒久的な神の臨在の場所である。それをステパノが否定し、神を冒涜したと訴えました。彼らが訴えた神殿について、本当の意味をステパノが語っているのがこの個所です。

神様はどこにお住まいなのでしょう?ステパノに聞いてまいります。

【聖書箇所の概説】

7章は先祖の信仰をステパノが語っています。

2-8節 アブラハムの召命の時

9‐16節 エジブトに下ったヨセフの時代

17‐37節 モーセの召命とイスラエルの救い。

本日の聖書箇所の区分け

44-45節 荒野では「あかしの幕屋」と共に移動していたこと。

46-47節 ダビデ王が、神の住まいを望んだが、建てたのはソロモンでした。

48-50節  神様は人間の造ったものには住む方ではないこと。 

 

【メッセージのポイント】

2)「あかしの幕屋」は移動式。

44わたしたちの先祖には、荒野にあかしの幕屋があった。それは、見たままの型にしたがって造るようにと、モーセに語ったかたのご命令どおりに造ったものである。45この幕屋は、わたしたちの先祖が、ヨシュアに率いられ、神によって諸民族を彼らの前から追い払い、その所領をのり取ったときに、そこに持ち込まれ、次々に受け継がれて、ダビデの時代に及んだものである44、45節

 今日の個所は、ステパノは神殿の聖所を汚したと訴えられていますが、わたしが伝えたいのはこういうことです、と論証しています。

 それで、神殿の前身から語りはじめます。そもそも神殿ができる前は、神様が神の民の導きをされるところは「あかしの幕屋」だったのですと。

 この「あかしの幕屋」というのは、神様がモーセに寸法から、材料まで、指示して造らせたものでした。構造は、聖所と至聖所に分かれていて、至聖所に「あかしの箱」がありました。この「あかしの箱」の中には、シナイ山でモーセが頂いた、「十戒」が入っていました。これが神のみこころを示す宣言が入っていて、「あかし」の言葉でした。この箱の上のふたに、犠牲の動物の血が注がれ、罪の赦しを受け、ここから神様が導きの言葉を語られたのでした。その所でわたしはあなたに会い、贖罪所の上から、あかしの箱の上にある二つのケルビムの間から、イスラエルの人々のために、わたしが命じようとするもろもろの事を、あなたに語るであろう。出 25:22とあります。

 そしてこの幕屋は、分解して移動できるように造られていました。この移動できて、神との「会見の幕屋」とも呼ばれた幕屋はダビデの時代まで続きました。

 このことは、神様は、この移動できる「あかしの幕屋」で、神の民を導いたのですから、神様を礼拝する場所はここしかないとユダヤ人指導者たちが、ここだけ、不動の聖所、と主張しているのはまずま違っていると指摘したのです。

 

2)神殿もやがて崩壊した。

 ダビデは、神の恵みをこうむり、そして、ヤコブの神のために宮を造営したいと願った。47 けれども、じっさいにその宮を建てたのは、ソロモンであった。         46、47節

 「あかしの幕屋」を、ダビデの時代に、立派な神殿にしたいとの願いが起こされました。さてダビデは自分の家に住むようになったとき、預言者ナタンに言った、「見よ、わたしは香柏の家に住んでいるが、主の契約の箱は天幕のうちにある」。ナタンは、一旦は承知しましたが・・わたしのしもべダビデに告げよ、『主はこう言われる、わたしの住む家を建ててはならない。歴代上17:1-5 彼は血を流し過ぎたと言われました。こういうわけで、ダビデは神殿を造ることができず、それを実現したのは、ソロモンでした。石造りの立派なものでしたが、その構造は、幕屋の時と同じ、聖所と至聖所に分かれていました。その目的も一つで、そこで神様に礼拝を捧げ、導きを求めるところでした。それは恒久的と思われましたが、バビロン捕囚の時に、破壊されました。

 今回教えられましたが、幕屋時代の方が、石造りの神殿で礼拝した時代より長かったのでした。

 捕囚から解放されて帰ってきて神殿が再建されましたが、その時の神殿はソロモンの神殿より小さいものでした。  しかし祭司、レビびと、氏族の長である多くの人々のうちに、もとの宮を見た老人たちがあったが、今この宮の基礎のすえられるのを見た時、大声をあげて泣いた。また喜びのために声をあげて叫ぶ者も多かった。エズラ3:12のでした。ステパノはこの話をした後、殉教して知りませんでしたが、この時の指導者らによって唯一永遠のように扱われたこの神殿も紀元70年にローマ軍によって崩壊しました。神殿こそ、永遠の神様の居ます聖なるところ、とパリサイ人や、リベルテンの人々が主張したのは、間違いでした。

 

3)いと高き方が住む家は造れない

 しかし、いと高き者は、手で造った家の内にはお住みにならない。預言者が言っているとおりである、49 『主が仰せられる、どんな家をわたしのために建てるのか。わたしのいこいの場所は、どれか。天はわたしの王座、地はわたしの足台である。 50 これは皆わたしの手が造ったものではないか』 48-50節

 49-50節の言葉は、イザヤ書66:1-2の引用です。ステパノは、神様は、至高の方で、全ての創造者です、その方を入れる家など、造れるはずがありません。そのことを預言者イザヤも語っています。と論述しています。

 神殿を造ったソロモンも、決して神殿が神様の住まいとは考えていませんでした。18 しかし神は、はたして人と共に地上に住まわれるでしょうか。見よ、天も、いと高き天もあなたをいれることはできません。わたしの建てたこの家などなおさらです。・・あなたの前にささげる叫びと祈をお聞きください。

 20 どうぞ、あなたの目を昼も夜もこの家に、すなわち、あなたの名をそこに置くと言われた所に向かってお開きください。どうぞ、しもべがこの所に向かってささげる祈をお聞きください。歴代下6:18-20 と祈っています。神様がその名を置くところで、罪を贖い、祈りを聞き、栄光を現されるところが神殿でした。ソロモンが神殿を捧げた時、祭司たちは雲のゆえに立って勤めをすることができなかった。主の栄光が神の宮に満ちたからである。歴代下 5:14とある通りです。

 幕屋も、神殿も、神様がそこに御臨在を現わしてくださるところでした。そこで、み言葉を持って導きを現わしてくださるところでした。でもそこは神様の住む家ではありませんでした。

 

4)本当のいと高き方の住まい

 しかしキリストがすでに現れた祝福の大祭司としてこられたとき、手で造られず、この世界に属さない、さらに大きく、完全な幕屋をとおり、12 かつ、やぎと子牛との血によらず、ご自身の血によって、一度だけ聖所にはいられ、それによって永遠のあがないを全うされたのである。ヘブル 9:11,12

 ステパノは、今やこの永遠に存続する、神の国の時代が来たことを知ってい

たので、今までの幕屋も、石造りの神殿も、この時までの仮のものだったのですと言いたかったのでした。

 先週はイースター礼拝でした。十字架にかかられる前、イエスが宮から出て

行かれるとき、弟子のひとりが言った、「先生、ごらんなさい。なんという見事な石、なんという立派な建物でしょう」。2 イエスは言われた、「あなたは、これらの大きな建物をながめているのか。その石一つでもくずされないままで、他の石の上に残ることもなくなるであろう」。マル 13:1と、イエス様は弟子達に、この宮は破壊され、一つも残らなくなる日が来るが、わたしは三日で建てると言われ、これはご自分の体である神殿のことでした。ヨハ2:19、21

 イエス様は三日目に死を打ち破って復活し、御自身の血を携えて、天の至聖所に入り、永遠に神様と住める場所を用意してくださったのでした。

 

5)わたしたちが神の宮

 しかも、彼らにお命じになった、「エルサレムから離れないで、かねてわたしから聞いていた父の約束を待っているがよい。5 すなわち、ヨハネは水でバプテスマを授けたが、あなたがたは間もなく聖霊によって、バプテスマを授けられるであろう」。使徒1:4,5節こう言い残して天に帰られました。そしてペンテコステの日に、聖霊が、祈っていた弟子たちの所に来てくださったのでした。Ⅰコリント3:16に、あなたがたは神の宮であって、神の御霊が自分のうちに宿っていることを知らないのか、とあります。イエス様はこの世にあるうちから、イエス様を信じた人を神の国にいれてくれるのです。しかも、その人を神の宮として、住んでくださっているというのです。パウロが、知らないのかと言っていますが、皆様はご存知でしたか?最初に神様はどこに住んでおられるかご存知ですか?と言いましたが、答えは信じた者の心でした。しかも、移動式ですね。こころの王座に聖霊様をお迎えしましょう!→永倉師                              

 それと、イエス様は神の国は、実にあなたがたのただ中にある。ルカ17:21と語られました。信じた者同志の間に神の国はあって、それは教会です。ここで神様と出会い、み言葉をいただき、礼拝して参りましょう!→原田恵姉の証

 

祈り

 父なる神様、今、聖霊様がわたしたちの心を住まいとしてくださっているとは感謝いっぱいです。常に心の王座においで下さり、導いて下さい。この命をいただいた兄弟姉妹と愛し合う神の国、教会が広がって、世界を覆う日が来ますように。  主の御名によって祈ります。アーメン