新宿西教会主日礼拝説教「目を覚ましていなさい」マルコ13:14~37 深谷春男牧師

5月15日(日)主日礼拝説教「目を覚ましていなさい」

聖書箇所:マルコ福音者13:14~37 

説教者:深谷春男牧師

「クリスチャン生涯とは主イエスの十字架の血潮で贖われ、復活の恵みに預かり、主イエスの再臨の時に天にたずさえあげられるまでの地上生涯である」とクリスチャン生涯を定義することができます。そして、その贖いと再臨の間に、聖化と神癒を入れると、勝利ある信仰者のイメージが定まりますね。

「キリストの再臨」は聖書のメッセ-ジです。

ルネ・パーシュの著した『再臨』という本によると、聖書の中には再臨についての記述は、旧約に1527節、新約に319節あるといいます。これはキリストの十字架の救いの業に匹敵する量です。確かに、そう言われてみれば、神の歴史支配の頂点である「主の日」のメッセ-ジは聖書のここかしこに記されます。内村鑑三が晩年、再臨運動を起こして、当時の社会に大きなインパクトを与えたことは有名です。彼が再臨信仰に堅く立ったのは第一次世界大戦が勃発した1914年から数年して、米国がこれに参戦した時、1917年のことでした。1917年は宗教改革400年記念の年、この年の10月31日、神田で開かれた、宗教改革記念集会で、夜の集会に1500名の会衆が集り、この時の余熱が、1918年1月6日(日)神田YMCAで、中田重治先生、木村清松先生と共に聖書の預言的研究演説会で、1300名位集まったと言われます。「再臨運動」の始りです。神様はこの世界を創造され、贖いを全うされ、救いの完成として再臨されるのです!

 

【今日の聖書箇所の概略】  

  さて、マルコ福音書13章は「キリストの小黙示録」と呼ばれるところです。マタイ24章と共に、主イエスが十字架に架けられる前に、弟子達に語られた「終末の預言」です。全体の構造は以下のようになっています。

1-  2節  壮麗な建築物だった神殿に感動した弟子に、神殿崩壊を予告する。

 3‐13節  終末の8つの徴   ①にせキリストの出現、②戦争と戦争の噂、

③飢饉と地震、 ④全世界への福音宣教、⑤人々の前での証し、

⑦不法、父と子の殺し合い、⑧最後まで耐え忍ぶ者は救われる。

14‐23節  大きな苦難を予告する。

       14-19節     偶像礼拝と聖所汚辱の破壊者による悲惨。

         20節     苦難の期間の短縮。

       21-23節     偽メシアや偽預言者にだまされるな。

24‐27節  人の子の再臨 について。

28‐30節  いちじくの木の教え。

31‐37節  目を覚ましていなさい 家の主人は思わない時に帰るのだから。

 

 【メッセージのポイント】

1)14 荒らす憎むべきものが、立ってはならぬ所に立つのを見たならば(読者よ、悟れ)、そのとき、ユダヤにいる人々は山へ逃げよ。15 屋上にいる者は、下におりるな。また家から物を取り出そうとして内にはいるな。16 畑にいる者は、上着を取りにあとへもどるな。17 その日には、身重の女と乳飲み子をもつ女とは、不幸である。18 この事が冬おこらぬように祈れ。19 その日には、神が万物を造られた創造の初めから現在に至るまで、かつてなく今後もないような患難が起るからである。20 もし主がその期間を縮めてくださらないなら、救われる者はひとりもないであろう。しかし、選ばれた選民のために、その期間を縮めてくださったのである。(14~20節)

 ⇒ 荒らす憎むべきもの。

 この14節には「荒らす憎むべきもの」という言葉があります。この言葉が最初に現われるのはダニエル書(9:27,11:31,12:11)で、紀元前168年、アンティオコス四世の命令で、エルサレム神殿の大きい祭壇にギリシャのゼウス神の祭壇が置かれたことであったと言われます。しかし、このマルコ福音書の描写で言われているのは、紀元40年のカリグラ皇帝が、自分の像を神殿の中に建てようとしたことであるとも言われます。また、学者によっては、これは紀元70年のエルサレムの滅亡の時をも語っているとか、あるいは世の終わりの時の反キリストの出現を語るものであるとも解説されます。(読者よ、悟れ)とか書いてあるので、びっくりしますが、これは、もともとこの小黙示録の読者への注意であったと思われますが、こうしてマルコ福音書を読むわたしたちへの注意となっていると、理解されます。この箇所は、ローマの軍隊によるエルサレムの包囲と神殿崩壊の危機が多分に示唆されて生々しい描写になっています。「立ってはならところ」とは、マタイ24:15では「聖なる場所」、神殿、あるいは至聖所であると表記されます。いつの時代でも、民族絶滅というような悲劇は多くあります。

 

2)21 そのとき、だれかがあなたがたに『見よ、ここにキリストがいる』、『見よ、あそこにいる』と言っても、それを信じるな。22 にせキリストたちや、にせ預言者たちが起って、しるしと奇跡とを行い、できれば、選民をも惑わそうとするであろう。23 だから、気をつけていなさい。いっさいの事を、あなたがたに前もって言っておく。    (21~23節)

 ⇒ 偽キリスト、にせ預言者の登場。惑わされるな。

世界の終わりには、多くの戦争や騒乱がおこります。今回のロシアのミサイル攻撃や戦車や軍艦からの砲撃などのすさまじさに驚きます。多くの人々は恐怖と不安でいっぱいになってしまいます。わたしどもは、日々主に祈り、聖書の言葉に触れていないと、本物がなんであるかがわからなくなってしまいます。選民も惑わされてしまうと主は語られました。聖書の示す本質をしっかり理解し、十字架の贖いや復活の信仰に思いを定めておくべきです。

この小黙示録では、特に、世の終わりには、偽キリスト、偽預言者に気をつけるようにと語られています。23節には「いっさいのことを、あなたがたに前もって言っておく」と注意を喚起して、「惑わされるな」と語られています。また、3節からの「終末の8つのしるし」の中で、第一に言われているのは、偽預言者、偽メシヤへの言及です。

   わたしは20年前ぐらい前になりますが、新宿の紀伊国屋で「超異常現象の講演」を聞いたことがあります。有名な著者が、講演と霊現象の実演をするというのです。その集会の閉じられる時に元気なお兄さんが、「せっかく集まったのですから、もう少し、深く話し合いましょう」というので、わたしは何をするのかと、のこのこついて行き、喫茶店での話し合いにまで付き合いました。背後にあやしい新興宗教の臭いがぷんぷんしていました。その時に、ある、中年の女性が言いました。「私はクリスチャンの家庭で育ったのでこのような話は初めてです。目からうろこが落ちるようでした」。わたしはこの言葉を聞いて絶句。皆さん、この世の悪霊にだまされてはいけません!

 

3)24 その日には、この患難の後、日は暗くなり、月はその光を放つことをやめ、25 星は空から落ち、天体は揺り動かされるであろう。26 そのとき、大いなる力と栄光とをもって、人の子が雲に乗って来るのを、人々は見るであろう。27 そのとき、彼は御使たちをつかわして、地のはてから天のはてまで、四方からその選民を呼び集めるであろう。28 いちじくの木からこの譬を学びなさい。その枝が柔らかになり、葉が出るようになると、夏の近いことがわかる。29 そのように、これらの事が起るのを見たならば、人の子が戸口まで近づいていると知りなさい。30 よく聞いておきなさい。これらの事が、ことごとく起るまでは、この時代は滅びることがない。31 天地は滅びるであろう。しかしわたしの言葉は滅びることがない。  (24~31節)

 ⇒ 人の子が来る!

 ここには、天変地異の、大きな世界的患難の世界が起こる事が書いてあります。「この患難の後、日は暗くなり、月はその光を放つことをやめ、25 星は空から落ち、天体は揺り動かされるであろう。26 そのとき、大いなる力と栄光とをもって、人の子が雲に乗って来るのを、人々は見るであろう。27 そのとき、彼は御使たちをつかわして、地のはてから天のはてまで、四方からその選民を呼び集めるであろう。」ある集会で、東南アジアの先生が、どこかの映像を持ってきて、何月何日、月が火のように赤くなるとか、太陽が暗くなるとか話しているのを聞いて、気分が悪くなったことがあります。

あまり極端な話は眉唾なものが多いので気をつけましょう。

 

4)33 気をつけて、目をさましていなさい。その時がいつであるか、あなたがたにはわからないからである。34 それはちょうど、旅に立つ人が家を出るに当り、その僕たちに、それぞれ仕事を割り当てて責任をもたせ、門番には目をさましておれと、命じるようなものである。35 だから、目をさましていなさい。いつ、家の主人が帰って来るのか、夕方か、夜中か、にわとりの鳴くころか、明け方か、わからないからである。36 あるいは急に帰ってきて、あなたがたの眠っているところを見つけるかも知れない。37 目をさましていなさい。わたしがあなたがたに言うこの言葉は、すべての人々に言うのである」。    (33~37節)

 ⇒ 目を覚ましていなさい!

 初めて教会に行った時、神学生の説教でした。眠ってしまったら、別の神学生から、紙切れが回ってきました。「誘惑に陥らないように、目を覚ましていなさい。マルコ14:38」と言う文章。「え?これ何?」という思いました。

 しかし皆さん、わたしたちが霊的に眠ってしまうと、恐ろしいですね。士師記4章にカナンの司令官シセラが、ヤエルの天幕で疲れて寝ているときに、ヤイルにこめかみを釘で打たれて即死してしまった事が書いてあります。ここには「目を覚ましていなさい」が4回も記されます。

 

33節、「目を覚ましていなさい!」その時がいつか分らないからです!

34節、「目を覚ましていなさい!」あなたは、門番なのですよ!

35節、「目を覚ましていなさい!」主人がいつ帰るか分らないからです。

37節、「目を覚ましていなさい!」これはすべての人に、言うのです!

霊の目を覚まして勝利の中を歩みましょう!ハレルヤ

 

【祈祷】 天の父なる神様。わたしたちが住んでいるこの時代は、まさに黙示録の時代だと言われます。ロシアのウクライナに侵攻、コロナ・パデミック。富士山の噴火の可能性、東北や九州での地震や津波の可能性。・・・

わたしたちの霊の目を開き、一人一人の歩みを点検し、あなたの御前で「善かつ忠なる僕、良くやった.わが花嫁よ!」との御声を聞くべく、わたしどもをこの朝、整え、霊の目をはっきり開いて下さい!わたしどもの贖い主、王の王、主の主である、主イエスキリストの御名によって祈ります。アーメン