新宿西教会礼拝説教「わたしを思い出して下さい」ルカ23:39~43 深谷春男牧師

4月10日(日)棕櫚の主日礼拝説教「わたしを思い出して下さい」

聖書箇所:ルカ23:39~43 

説教者:深谷春男牧師

「イエスよ、あなたが御国の権威をもっておいでになる時には、わたしを思い出してください」。                 ルカ23:42

今日は教会の暦では「棕櫚の聖日」という日になります。今日から始まる一週間を受難週と呼びます。4月14日が洗足の木曜日、15日が受難日、つまり、主イエスが十字架にかかられた聖金曜日となります。そして、17日の日曜日が復活の日を記念するイースターとなります。このレントの期間は、主イエスの十字架の苦難を偲び、主イエスの十字架の意味を深く心にとどめ、一足一足主イエスに従って歩みたいものです。

そのような意味で、棕櫚の聖日の今日、ルカ福音書から、主イエスのエルサレム入場とそれに続く主の十字架との記事を共にお読みしたいと思います。

 

【今日の聖書の概説】

 今日の聖書箇所は主イエスが十字架にかかられた時に、その両脇につけられた二人の盗賊の話です。言い伝えによれば、盗賊の一人はゲスタス、もう一人はディスマス。一人は主イエスに悪態をつき、一人はそれをたしなめ、悔い改めて救われ、み国への第1号となったと記されます。この二人の罪人の姿は、わたしどもの人生の象徴とも言うことができますね。

 

【メッセージのポイント】   

1)32 さて、イエスと共に刑を受けるために、ほかにふたりの犯罪人も引かれていった。33 されこうべと呼ばれている所に着くと、人々はそこでイエスを十字架につけ、犯罪人たちも、ひとりは右に、ひとりは左に、十字架につけた。    (32,33節)

 ⇒人生は不条理で満ちている!   

 ここに最も悲惨な人生があります。主イエスの受けた十字架刑。そしてそのとなりに同じように十字架につけられた二人の盗賊。どうして彼らが十字架に付けられたのかは、詳細はわかりません。十字架刑は身の毛もよだつような恐ろしい刑です。両手を釘で打ちつけられて、炎天下さらされるため、激しい喉のかわきと、筋肉のけいれん、激痛をともなうと言われます。この刑罰は、ローマ帝国の反逆奴隷や政治犯への、見せしめを含んだ極刑です。この二人の犯罪人もきっと反逆奴隷か、あるいは政治的なテロ集団の一人かもしれません。何はともあれ、彼らの人生は問題で満ちていたことでしょう。人生は不条理に満ちています。   

 ある先生が、人生の三つの坂がある。すべてが順調にゆく右肩上がりの上り坂の時。また、統べたが思うように行かずに、すべてが不調で終わる、下り坂。それから、まさかそんなことはあるまいと思う、まさかの坂がある・・・。   

2)39 十字架にかけられた犯罪人のひとりが、「あなたはキリストではないか。それなら、自分を救い、またわれわれも救ってみよ」と、イエスに悪口を言いつづけた。(39節)

  ⇒高ぶりと自己中心は滅びの道!            

 自分のした犯罪のために、十字架につけられた一人の犯罪人の方は、現実の無意味さ、悲しみ、苦しさのあまり、主イエスにやつあたりしています。彼の姿にわたしどもは深い教訓を学ぶことが出来ます。人生には多かれ、少なかれ、不条理がある。病気、事故、失敗、挫折、思うように進まない物事・・・。周りの人々が輝いて見える。「どうして自分ばかりがこのような苦しみに会うのか?」と自問自答する。自己憐愍に陥り、最後は、やつあたりとあざけりとあらゆる事にやけっぱちになっています。彼は自分の高ぶりに気づかない。そして主イエスに悪態をつきます。彼は、「あなたはキリストではないか。それなら、自分を救い、またわれわれも救ってみよ」と、イエスに悪口を言いつづけたと言うのです。

 

3)40 もうひとりは、それをたしなめて言った、「おまえは同じ刑を受けていながら、神を恐れないのか。41 お互は自分のやった事のむくいを受けているのだから、こうなったのは当然だ。しかし、このかたは何も悪いことをしたのではない」。42 そして言った、「イエスよ、あなたが御国の権威をもっておいでになる時には、わたしを思い出してください」。(40~42節)

  ⇒ザーカール(思い出して下さい)!

 もう一人の犯罪人は、悪態をつく犯罪人に言いました。言った。「おまえは同じ刑を受けていながら、神を恐れないのか。41 お互は自分のやった事のむくいを受けているのだから、こうなったのは当然だ。しかし、このかたは何も悪いことをしたのではない」。彼は、キリストと言われる主イエスの姿をじーっと見ていたのであろう。そして、ここで信仰の告白をしたのです。「主よ、み国の権威をもって来られる時にはわたしを思い出して下さい。」彼はおのれの罪を認め、悔い改めたのです。二人とも、同じ様に十字架につけられていたのですが、一人は滅びに、一人は永遠の救いに至ることになりました。十字架の救いはおのれを低くする謙虚さがないと、分からないのです。

 今日の説教題は「わたしを思い出して下さい」。副題は「ザーカール」です。旧約聖書の中では、信仰を理解するのにこの「ザーカール」は大変重要な内容を持つ言葉です。「わたしを覚えていて下さい」は、神よ救いたまえの意味です。「わたしはいつもあなたを覚えています」は、主の御顔を仰ぐ礼拝という意味です。アルファベットの詩篇25篇などでは、6,7節で、「わたしを思い出して下さい」わたしの若い時の罪、とがを思い出さないで下さい。あなたの恵みと慈しみ従って、わたしを思い出して下さい」と三回も使用しています。

今日は、礼拝のお土産は、この「ザーカール」という言葉です。ハレルヤ

 

4)43 イエスは言われた、「よく言っておくが、あなたはきょう、わたしと一緒にパラダイスにいるであろう」。(43節)

  ⇒謙遜と信仰の告白はパラダイスへの道!

 主はへりくだり、わたしを思い起して下さいと祈ったこの犯罪人の心を喜び、上に掲げた救いの言葉を語られた。「あなたはきょうわたしと一緒にパラダイスにいるであろう」と語られました。主イエスを中心とした輝く代々の聖徒と共なる大祝宴の席に着くと語ったのでした。パラダイスは信じるあなたに今日(!)始まる。 ハレルヤ!

 

今日から受難週です。この一週間の、受難週の出来事(マルコ福音書から)を記してみます。

日曜日 (祭の5日前) 

昼ごろ、エルサレム入城           マルコ11:1~11

夕方にかけて、エルサレムを視察する、ベタニア泊

月曜日 (祭の4日前) 早朝、実のないイチジクを叱る    11:12~

午前中、宮きよめ                 11:15~

火曜日 (過ぎ越し祭りの3日前)

ユダヤ指導者と論争 権威・ぶどう園・納税・復活・他 12:21~

昼過ぎ、貧しいやもめのレプタ2つの献げ物      12:41~

夕方、主イエスの終末についての説教 小黙示録    13:1~ 

水曜日 (過越と除酵の祭の2日前)

祭司長・律法学者、イエス殺害の計略。       14:1~          

ナルドの香油                   14:3~

ユダの裏切りと謀略                14:10~

木曜日 (除酵祭の第1日)

昼間、二階座敷が用意される。           14:12~     

夕暮れ、最後の晩餐、裏切り予告 聖餐式      14:17~

夜、ゲッセマネにて祈りをする           14:32~

ユダの裏切りと先導によりイエス捕らえられる    14:43~

金曜日(過越の祭の当日:安息日前日)

イエスの裁判、イエス、メシア宣言、ペテロの否認  14:53~

夜が明けたのち、ピラトの裁判、イエスかバラバか   15:1~

朝、ヴィア・ドロローサ クレネ人シモン       15:16~

午前9時、十字架につけられる、 2人の強盗両隣に  15:24~

午後3時、エロイエロイラマ、サバクタニの叫び 絶命 15:33~

夕方、アリマタヤのヨセフによるイエス様の埋葬     15:42~

土曜日(祭の翌日:安息日)

(主イエスは陰府へ下る)

日曜日(週の初めの日:安息日の翌日)

早朝、マグダラのマリヤとヤコブの母マリヤとサロメ 16:1~

が墓に行った。墓石は転がしてあり、白衣の若者

2人がいなかの方に歩いて行くとイエスも共に行った  16:12~

    主イエスの宣教命令                 16:14~ 

 

今日は受難週の出発棕櫚の主日です。主イエス様を心に迎え、この一週間、深く、深く主イエス様の愛と真実を思い、わたしどものためにすべてを捨てられた、主に、心からなるザーカールの感謝と献身の一週間と致しましょう。

 

【 祈り 】 主よ、今日は受難週のはじめ棕櫚の主日です。わたしどもは主イエスのとなりに十字架についた盗賊の姿を学びました。彼の姿から、信仰の原点を学びました。神の愛を仰ぎ、自分の罪を認め、罪の赦しと潔めを経験し、聖霊なる神様を心に迎え、魂の深みまで愛と自由の霊で満たされ、砕けた、悔いた心で主の御前に立ち、新しい人生へと進ませてください。今週は特に、主を深く覚える、ザーカールの一週間とさせて下さり、来週は、罪と死に勝利する復活の生涯へと飛躍させてください!わたしたちの罪と死からの贖い主、愛と恵みに満ちたもう、主イエスの御名によって、祈ります。アーメン!