新宿西教会主日礼拝説教「大勇士よ、主があなたと共におられます。」士師記6:12 深谷春男牧師

説教「大勇士よ、主があなたと共におられる。」

聖書:士師記6:12

説教者:深谷春男牧師 

「国際ギデオン協会」という世界組織があります。聖書を配布する恵まれた信仰の勇者たちです。うちの教会にも何度か、訪問してくださり、その活動報告をしてくださり、共に宣教を担うという意味で聖書配布の使命の達成のために自由献金をアッピールして行かれます。

【聖書箇所の概略】

 イスラエルの民はモーセに率いられてエジプトを脱出し、40年の年月を経てようやくヨシュアに導かれて約束の地、カナンに住むことができました。

 荒野での彷徨が40年もかかってしまったのは、イスラエルの不信仰と呟きの結果でした。パウロはⅠコリント10章でイスラエルの民に起こったことはわたしたちの「鏡」ですと語っています。偶像礼拝とつぶやきと不信仰に気をつけなさいと語りました。しかし、ようやく約束の地に入っても多くの困難がありました。その中でもこの6章のギデオンの時代は大きな試練がありました。隣国のミデアン人がやってきて略奪してゆくのです。「いなごの大群のようにやってきて、奪いつくしていく」のです。イスラエルの民は、神様に頼るいがなくて、主に助けを求めて叫びました。主は、一人の人を選ばれました。それがギデオンです。さあ、今日はギデオンの物語を共に読んでまいりましょう。

 

【内容区分】

11~24節  ギデオンの召命

25~32節  偶像の撤去

33~40節  勝利のしるし

 

【メッセージのポイント】

1)11 さて主の使がきて、アビエゼルびとヨアシに属するオフラにあるテレビンの木の下に座した。時にヨアシの子ギデオンはミデアンびとの目を避けるために酒ぶねの中で麦を打っていたが、 (11節)

  ⇒ 酒ぶねの中で麦を打つギデオン!

 先にも申し述べたようにこの時のイスラエルはミデアン人に略奪され放題の状態でした。種をまいてやっと実ったと思ったら、それをいなごの大群のようにやってきて、奪いつくしていくのです。こうなったのは彼らが神様に背き、偶像礼拝をしたためでした。彼らは悔い改め、神に助けを叫び求めます。そして、神様はその祈りに答え、イスラエルを救う者としてギデオンを選ばれたのです。しかし、この時、ギデオンは酒ぶねの中で麦を打っていました。ふつう麦の脱穀は風通しのよいところでするものですが、彼はミデアン人がやってくるのを恐れて、風などない酒ぶねの中で麦を打っていたのです。実にだらしのない臆病者の姿が記されます。ミデアン人を恐れてびくびくしながら、酒ぶねに隠れて、麦を打っていたギデオンに主の使いは現れたのです。

 

2)、12 主の使は彼に現れて言った、「大勇士よ、主はあなたと共におられます」。   (12節)

  ⇒ 大勇士よ!との呼びかけを聞け! 

しかし、主の使いは言いました。「勇者よ、主はあなたと共におられます」。口語訳聖書はこのところを「大勇士よ、主はあなたと共におられる」と訳しています。文語訳は「剛勇丈夫(ますらたけお)よ!」と訳しております。しかしどうみてもギデオンの姿は「勇者」「大勇士」「剛勇丈夫(ますらたけお)」とは言えないようなものでした。ギデオン自身も「わたしの一族はマナセの部族の中で最も貧弱ものです。それにわたしは家族の中でいちばん年下の者です」と言っています。

 

3)16 主は言われた、「しかし、わたしがあなたと共におるから、ひとりを撃つようにミデアンびとを撃つことができるでしょう。」(16節)

⇒ わたしがあなたと共にいる!

 ギデオンにとって、納得がゆかないことばかりでした。なぜ、主が共にいるなら、このような敗北があるのだろうか!このような惨めな現実があるのだろうか?

13節以降にはギデオンの切々たる訴えがあります。

「13 ギデオンは言った、「ああ、君よ、主がわたしたちと共におられるならば、どうしてこれらの事がわたしたちに臨んだのでしょう。わたしたちの先祖が『主はわれわれをエジプトから導き上られたではないか』といって、わたしたちに告げたそのすべての不思議なみわざはどこにありますか。今、主はわたしたちを捨てて、ミデアンびとの手にわたされました」。14 主はふり向いて彼に言われた、「あなたはこのあなたの力をもって行って、ミデアンびとの手からイスラエルを救い出しなさい。わたしがあなたをつかわすのではありませんか」。15 ギデオンは主に言った、「ああ主よ、わたしはどうしてイスラエルを救うことができましょうか。わたしの氏族はマナセのうちで最も弱いものです。わたしはまたわたしの父の家族のうちで最も小さいものです」。

 しかし16節の一句がすべての困難と無力さを、打ち壊すのです!

「わたしがあなたと共におるから、ひとりを撃つようにミデアンびとを撃つことができるでしょう。」と。

 主が共にいる!この一句がギデオンを立ち上がらせるのです。

 

わたしたちにとっても同じです。この世の中には問題が多いのです。家庭の問題、子育ての問題、会社での人間関係の問題、健康の問題、経済の問題、罪の誘惑、自分自身のみじめさ、能力の不足・・・様々な問題課題があります。時にはそれらの問題課題に押しつぶされそうになってしまうこともあります。もうだめだと意気消沈してしまうこともあります。不安と恐れに取り付かれてしまうような時もあります。この当時のイスラエルの民、そしてギデオンもそうでした。しかし主はギデオンに「勇者よ、主があなたと共におられる」と言われました。主は意気消沈しきった、恐れと不安にとりつかれ、人目をさけて麦を打っているようなギデオンを勇者と呼ばれたのです。人の考えと主のお考えは違います。人がどんなに自分はだめだと思っていても、主が勇者だと言われるならば、勇者なのです。主はわたしたちにも「勇者よ、主があなたと共におられます」と語っていてくださるのです。12節にも16節にも「わたしがあなたと共にいる」とあります。これは、出エジプト3章のモーセの召命や、エレミヤ書1章のエレミヤの召命、イザヤ41:10等、聖書のいたるところに記される神の臨在の約束です。マタイにも1章、18章、28章に記されます。

愛する兄弟姉妹!主の臨在の約束が、困難を乗り越える秘訣です。

 

4)21 すると主の使が手にもっていたつえの先を出して、肉と種入れぬパンに触れると、岩から火が燃えあがって、肉と種入れぬパンとを焼きつくした。そして主の使は去って見えなくなった。22 ギデオンはその人が主の使であったことをさとって言った、「ああ主なる神よ、どうなることでしょう。わたしは顔をあわせて主の使を見たのですから」。23 主は彼に言われた、「安心せよ、恐れるな。あなたは死ぬことはない」。24 そこでギデオンは主のために祭壇をそこに築いて、それを「主は平安」と名づけた。これは今日までアビエゼルびとのオフラにある。(21~24節)

 ⇒ 平和の主という祭壇を築け!

 まず、神への祭壇を築くのです。その祭壇の名は「平和の祭壇」。これはわたしたちのささげる礼拝、祈祷会、早天祈祷会等の主との交わりの確立を意味します。創世記12章のアブラハムのように、列王記上18章のエリヤのように、霊の戦いの勝利は、壊れた祭壇を築くところから始まるのです。

5)25 その夜、主はギデオンに言われた、「あなたの父の雄牛と七歳の第二の雄牛とを取り、あなたの父のもっているバアルの祭壇を打ちこわし、そのかたわらにあるアシラ像を切り倒し、26 あなたの神、主のために、このとりでの頂に、石を並べて祭壇を築き、第二の雄牛を取り、あなたが切り倒したアシラの木をもって燔祭をささげなさい。」(25,26節)

 ⇒ 偶像を取り除くギデオン

まずは偶像を取り除くことなのです。偶像は仏壇とか神棚とか目に見えるものだけではありません。ある人にとっては両親が偶像に、ある人にとってはアイドルが、またある人にとってはお金、名誉、地位が・・・。それらもまた大切なものであるかもしれませんが、神を第一にすることです。神の国と神の義を第一にすることが勝利の秘訣です。

 

6)34 主の霊がギデオンに臨み、ギデオンがラッパを吹いたので、アビエゼルびとは集まって彼に従った。35 次に彼があまねくマナセに使者をつかわしたので、マナセびともまた集まって彼に従った。彼がまたアセル、ゼブルンおよびナフタリに使者をつかわすとその人々も上って彼を迎えた。 (34,35節)

⇒ 主の霊がギデオンに臨まれる!

偶像を撤廃した後、主の霊がギデオンを覆うのです。そして角笛を吹くと、アビエゼルの人々が集まり、マナセ、アシェル、ゼブルン、ナフタリの人々が集まってきました。主の霊に満たされる信仰者の姿があります。

 

更に7章を読みますと、主は「あなたの率いる民は多すぎる・・・それゆえ、民に呼びかけて聞かせよ、恐れおののいている者は皆、帰れと」。するとなんと2万2千人もの人々が戦線を離脱して行きました。神様はギデオンに「民はまだ多すぎる。彼らを水辺につれて下れ。そこで彼らをえり分ける」と言われました。兵士たちはそこで水を飲んでいると主はギデオンに「犬のように、舌でぺろぺろなめて水を飲む者、また膝をついて飲んだ者は別にせよ」と言われました。そして「手で水をすくって飲んだ者だけを用いる」と言われました。それはたったの300人。敵の何万人も軍勢に対してたったの300人。しかし主はこのギデオンの300を通して勝利をもたらしたのです!

 

【祈り】 主よ、今日は「ギデオンの300人」の話を聞きました。臆病者のギデオンが、「大勇士よ」と語られ、主の臨在を覚え、祭壇を築いて立ち上がり、偶像を砕き取り除き、聖霊に満たされて、毅然と立ちました。われらをもギデオンの勇者として用いたまえ。主の御名によって祈ります。アーメン!