教会は「心を合わせて祈る群れ」でした。
使徒行伝によれば、その2章のはじめにペンテコステの時に教会が誕生したことが書いてあります。その時に約束の聖霊なる神が教会に降臨され、キリストの体なる教会が始まりました。しかし、この箇所を丁寧に読みますと、教会が出来上がる前に、実は、教会は「祈りの群れ」でした。皆で心をひとつに祈っているところに約束の聖霊なる神様の降臨があり、教会が誕生したのです。そのような意味では、教会は生まれる前から「祈りの群れ」であり、この「祈りの群れ」から教会が誕生したのです。
「教会は祈りの家」なのです。
初代教会は、「祈り会」から出発しました。うちの新宿西教会も同じだと思います。教会の創立時1954年(昭和29年)岡田実牧師を中心に立ち上がったときも、教会の兄弟姉妹の多くの祈りの中で、教会が建ちあがりました。また、新宿西教会が8階のビルとなった1980年の新会堂の建築の時も多くの祈りがささげられました。更に、考えてみれば、教会の前史、1910年(明治43年)に大久保の地に日本基督同胞教会大久保伝道所(大内文平牧師)が建ち上がったときにも、多くの祈りが積まれました。教会は「祈り」から始まったのです。現在でも新宿西教会は、「聖書研究・祈り会」「早天祈祷会」等で皆様と共に聖書を学び、共に祈れることは、豊かな祝福であり、よろこびです。
【聖書テキストの概説】
さて、今日の聖書箇所を共に読んでみましょう。
この聖書箇所は主イエス様が十字架の苦難を受け、3日目によみがえり、弟子達に現われ、御自分が生きていることを、数多くの証拠をもって使徒たちに示し、40日にわたって彼らに現れ、神の国について話され、昇天された後のできごとが記されています。
主イエス様は弟子たちに「エルサレムを離れず、前にわたしから聞いた、父の約束されたものを待ちなさい。ヨハネは水で洗礼を授けたが、あなたがたは間もなく聖霊による洗礼を授けられるからである」と語られ、8節では「 あなたがたの上に聖霊が降ると、あなたがたは力を受ける。そして、エルサレムばかりでなく、ユダヤとサマリアの全土で、また、地の果てに至るまで、わたしの証人となる」と語られました。政治的なユダヤ帝国を作ることではなく、十字架と復活のキリストの体、教会の形成を語られたのでした。
昇天はオリブ山でなされました。弟子たち見ているうちに天に上げられ、雲に覆われて彼らの目から見えなくなり、天を見つめていた弟子たちに、白い服を着た二人の御使いがそばに立って、「なぜ天を見上げて立っているのか。あなたがたから離れて天に上げられたイエスは、天に行かれるのをあなたがたが見たのと同じ有様で、またおいでになる」と再臨の予告をされたのでした。
12節を読むと、使徒たちは、オリーブ畑と呼ばれる山からエルサレムに戻って来て、エルサレムに入ると、泊まっていた家の上の部屋(アッパルーム)に上がった、と記されています。そして、そこに集まっていた人々、120人の人々の名前が紹介されています。「ペテロ、ヨハネ、ヤコブ、アンデレ、ピリポとトマス、バルトロマイとマタイ、アルパヨの子ヤコブと熱心党のシモンとヤコブの子ユダ」と、11名の名前が挙がっています。「彼らはみな、婦人たち、特にイエスの母マリア、およびイエスの兄弟たちと共に、心を合わせて、ひたすら祈をしていた」(14節)のでした。
【メッセージのポイント】
1)12 それから彼らは、オリブという山を下ってエルサレムに帰った。この山はエルサレムに近く、安息日に許されている距離のところにある。13 彼らは、市内に行って、その泊まっていた屋上の間にあがった。(12、13節a)
⇒ アッパ ルームヘ上れ!
使徒たちは、オリーブ山で、昇天された主イエスを見送ってから、エルサレムに帰りましたが、まず、彼らは「泊まっていた家の上の部屋に上がった」と記されています。「泊まっていた上の部屋」のことをアパルームと言います。彼らはまず、祈りの部屋に上ったのでした。
最初に語ったように、教会は「祈りの家」です。そこで、わたしどもは神様に真実の祈りをささげます。そして、神様の御旨を聞き、生きてゆく一番根本的なことを学んでゆきます。
以前も出エジプト記から「ヨケベデの祈り」という内容を読みました。エジプトで奴隷となっていたイスラエルの民の悲しみの歴史。その涙のただ中でモーセの母ヨケベデは、祈りつつモーセに信仰を伝えてゆきました。愛と祈りをこめて。まさに「おっぱいを祈りに溶かして飲ませ養った」のでした。揺り籠を動かす母親の手が、世界を動かすことになったのです。ハレルヤ。
2)その人たちは、ペテロ、ヨハネ、ヤコブ、アンデレ、ピリポとトマス、バルトロマイとマタイ、アルパヨの子ヤコブと熱心党のシモンとヤコブの子ユダとであった。(13節b)
⇒ 多様な人々と共に祈れ。
この時に、二階座敷で祈っていた人々の名簿がここに出てきます。これらの使徒たちは、かなり個性的な人々でした。漁師あがりの弟子たちは、リーダー格のペテロを始め、岩のようなごつごつした個性、ヨハネとヤコブは「雷の子」と主イエスに呼ばれるような激しい怒りっぽい性格だったのだと思います。ペテロのお兄さんのアンデレや、疑い深いトマスもいます。取税人のマタイもいれば、当時のテロ組織熱心党のシモンなどもいたのです。ヤコブとヨハネなどはお母さんと一緒に主イエスさまのところに行って、「一人をあなたの右に一人をあなたの左に」とかお願いして、弟子たちの中に争いが起こったこともありました。きっと、そりの合わない、どうしても苦手な性格の人もそれぞれいたに相違ないと思います。しかし、彼らは祈りにおいてひとつとなっておりました。さらに、14節には「彼らは皆、婦人たちやイエスの母マリア、またイエスの兄弟たち」と共に祈っていたというのです。婦人たちと共に祈るのは、ユダヤの伝統ではありませんでした。それに、ここには主イエスの兄弟たちも加わっていたことも言及されています。
前回も学びましたが、主イエス様が復活の後に語られたのは「神の国のことであった」と記されています。主イエスの最後の主題は「神の国」でありました。これはまた興味深いことです。ガリラヤ湖畔で最初に「神の国は近づいた、悔いあらためて福音を信ぜよ」と語ってその宣教を始められた主イエスは、地上を離れる時の最後の主題も「神の国」のことでありました。「神の国」とは「神の支配」の意味で神様の愛と命の支配する世界のことです。やがて弟子達が伝道すると一度に3千人の人が悔いあらためて信仰を持ちました。教会を「神の支配」のもとに置く訓練を受けていなかったならば、教会はすぐにパンクしてしまったに相違ありません。自己中心の人間が集まれば、そこには必ず自我のぶつかり合いが起こります。弟子たちは、主の臨在の前に深い悔い改めと、救いを体験し、主イエスのご臨在のもとに、愛と命の共同体をめざしたのでした。「神の国はあなた方のただ中にある」と主は言われました。「神の愛と命のご支配」を自分のものとしたいものです。
3)14 彼らはみな、婦人たち、特にイエスの母マリヤ、およびイエスの兄弟たちと共に、心を合わせて、ひたすら祈をしていた。(14節)
⇒ 合心祈祷!
そして最後に、今日は「心を合わせて、ひたすら祈をしていた」という14節の言葉に注意しましょう。主のお弟子たち、そして主イエスの母マリア、そして主イエスの兄弟たちが加わって祈っていました。しかも彼らは心をあわせ て、ひたすら祈りをしていたのでした。
かつて、キリスト兄弟団の目黒教会の牧師の工藤公敏先生が、夏期聖会で、「合心祈祷」というお話をされました。地上で二人のものが心をひとつにして祈るなら、天の父はこれを聞いてくださる。先生は夫婦で祈りあうこと、
家族で祈りあうことを証しされました。その時は、赤羽教会の献堂式前でしたが、先生もその御用の直後に、ある教会の兄弟姉妹が、夫婦で祈っていたら、会堂建築のためにささげようということで多額の御献金をなされた。それが契機となって多くの方々の祈りですばらしい会堂が建ちましたと証しされました。
心をひとつにして祈っていると奇跡が起こります。
赤羽教会でも、会堂建設の時には、熱い祈りをささげておりましたら、必要の1億円が与えられたことがありました。
見城良雄という先生の証しを忘れることができません。彼は愛知県のちいさな町の材木屋さんでした。奥様が滝元明先生の牧会される教会に通ってクリスチャンになりました。すでに6人のお子さんがいました。7人目の赤ちゃんが与えられたときにご主人との間に対立が起こったのです。ご主人はもう子供はいらないと言いました。口喧嘩となって、ご主人は怒って家を出て、赤提灯で、一杯飲んでいました。友人に「俺の家内はキリスト教に凝っちゃったよ」とぼやきました。ところが彼は「キリスト教はなかなか良い宗教だ。あなたも行ってみたらどうか?」と言ったのです。「それもそうだ」。彼は仕事のついでに、東京の穐近先生の牧会される教会に出かけられました。そこで新しい業が起こり始めたのです。
しかし、その背後には奥様の熱心な祈りがありました。夜になると彼女はよく、コモを持って裏庭で祈ったと言うのです。彼女の祈りが聞かれて、夫婦の危機も過ぎて、その子は無事出産。それから8人、9人、10人と生まれ、最後は11人か、12人目まで生まれました。しかし、現在、皆、伝道者になり、ご主人も材木屋がつぶれて、ついに伝道者になりました。特に一人の息子は暴走族のグループに入り、大変なところを経験していたそうですが、ご夫妻が、早天祈祷会に来て祈っている中で、この息子も救われ、献身して、牧師になられたと証しを聞きました。心を合わせて祈る祈りには恐るべき力があるのです。
【祈り】 主よ、わたしどもは、弟子たちのように、あなたの深い臨在を経験して、神の支配の中に歩むことを教えてください。イースターからペンテコステにいたる教会暦の中にあります。祈りを大切にしながら、聖霊に満たされて、教会を建て上げるものとしてください。心をひとつにして祈ることができますように。新宿歌舞伎町の中にあるわたしたちの教会を祝し、特に、祈りの霊を注いでください。主イエスの御名によって祈ります。アーメン
