新宿西教会10月6日聖研祈祷会奨励「あなたの救いと御言葉を恋い焦がれ」詩篇119:81~88 深谷春男牧師

10月6日「あなたの救いと御言葉を恋い焦がれ」

聖書:詩篇119:81~88

説教者:深谷春男牧師 

 詩篇119篇は、聖書の中で一番長い章です。この詩篇は日本風に言えば「いろは歌」で、ヘブル語のアルファベットに従って歌われている技巧的な詩篇です。しかも8節ずつまとまりをなし、

1~8節はすべて「アレフ」(=英語のA)から始まり、

9~16節はすべて「べス」(=英語のB)から始まり、

   ・・・・・・・

73~80節はすべて「ヨード」(英語だとY)から始まります。

81~88節はすべて「カフ」(英語だとK)から始まります。ヘブル文字は子音が22文字あるため、22×8=176節にもなる長大な詩です。

今日は81~88節のカフの(=K)の段落11番目の主題は

「敵に圧迫されて、疲れ果てている詩人の姿が示されます。」彼は、年老いて「煙の中の革袋のような自分!」と告白しています。しかし、そのような、厳しい中にあっても、彼の目は、主の救いに向かっており、主のみ言葉と救いの実現に、恋い焦がれ、慕い焦がれています。最終的には、「主の慈しみによって、生かしてください」と熱い告白をしています。

81~88節は、各節の初めは全て「カフ」(=英語のK)です。ユダヤの言葉では、「カーラー(=失神する、気絶する)」から始まります。

81Kaleter litoshuateka (カレター リトゥシュアッテカ-)=慕い絶えいる

82Kalu einai (カルエッカ- エイナイ )=わたしの両目は 慕い、絶え入る

83Ki  haittei(キー ハィティ) = なぜなら わたしは煙の中の革袋

84Kama ieme- abdekka)(カマ イエメー アブデッカー)=汝の僕の日は幾ばく

85Karu-li zediim sihoto (カル- リー ゼデ-ム)=掘った 高ぶる者は 落とし穴

86Kol mitubateka- emina  (コール ミツボッテカー)=すべての あなたの戒め87Kimato  kiruni (キムアト キルニー)=ほとんど 彼らは わたしを滅ぼす

88Kehasudeka haieni(ケハズデカー ハイェーニ)=汝の慈しみに我を生し給え

 【メッセージのポイント】

81 わが魂はあなたの救を慕って絶えいるばかりです。

わたしはみ言葉によって望みをいだきます。

 82 わたしの目はあなたの約束を待つによって衰え、

「いつ、あなたはわたしを慰められるのですか」と

尋ねます。 (81,82節)

⇒ わが魂はあなたの救いに恋い焦がれ! 

   小畑進先生の「詩篇講解」には、おもしろいことが描いてありました。この81~88節の内容は、「カフ」から始まる。この「カフ」は、発音としては大変きつい言葉で、カ、キ、ク、ケ、コの発音を利用して、この詩人の一番きつい、現実を語っている。いわば、詩篇119篇の「闇夜」のような箇所と語っておられます。関根正雄先生もここはとくに印象深い箇所であると語っています。この詩人の体験した、厳しい、きつい、苦しい状況が語られている部分として、読みたいと思います。

まず、ヘブル語の「K」を考え、黙想したときに、詩人が思い浮かべたのは「カーラー」という言葉でした。これは、すばらしい言葉です。

口語訳では「慕って絶え入るばかり」という言葉です。気絶するほどに、失神してしまうほどに、主の救いを慕い求め、御言葉を慕い求めるというのです。

最近の翻訳は、今までの訳よりも強い訳になっていますね。

最近の「教会共同訳聖書」

81私の魂はあなたの救いに思い焦がれ

絶え入りそうです。

あなたの言葉を待ち望んでいます。

82私の目はあなたの仰せを思い焦がれ

絶え入りそうです。

いつ私を慰めてくださるのか、と問いかけています。

 

「新改訳2017年訳」

81私の魂は あなたの救いを慕って

絶え入るばかりです。

私はあなたのみことばを待ち望んでいます。

82私の目はあなたのみことばを慕って

絶え入るばかりです。

わたしは言います。

「いつあなたは私を慰めてくださるのですか」と。

 

「岩波版の松田伊作訳」では

81わが魂はあなたの救済(すくい)に恋い焦がれ・・・

82わが目はあなたのことばに恋い焦がれ・・・

と訳されています。

 

厳しい現実の中にあっても、「神様の救い」を、「神様の御言葉」を、「思い焦がれて」、「慕い焦がれ」、「恋い焦がれて恐がれて」生きる信仰者の姿に学びたいですね。

 

2)83 わたしは煙の中の皮袋のようになりましたが、

なお、あなたの定めを忘れませんでした。

84 あなたのしもべの日はどれほど続くでしょうか。

いつあなたは、わたしを迫害する者を

さばかれるでしょうか。 (83、84節)

 ⇒ わたしは「煙の中の革袋!」

今日の第二の聖句は、「煙の中の革袋」という言葉に注目してみましょう。昔のイスラエルの薄暗い天井はどのようなものだったのでしょうか?とうじはガスや電気はありませんでしたから、直接、薪で焚いて食事を作っていたのですから、すすけた壁には、水を運んだり、ぶどう酒を入れて使っていた革袋が、巻きの燃える熱気と煙にいぶられ、干からび、黒ずんで、思惑Yチャになってあったのでしょうでしょう。自分自身お姿を詩人は歌っていますね。

昔、赤羽教会でのこの所を話したら、あるおばあちゃんが説教の後にやってきて、ニコニコしながら「先生、煙の中の革袋の話、わたしのことじゃないでしょうね・・・?」と言われたことを思い出しますね。

 

3)85 高ぶる者はわたしをおとしいれようと

穴を掘りました。

彼らはあなたのおきてに従わない人々です。

86 あなたの戒めはみな真実です。

彼らは偽りをもってわたしを迫害します。

わたしをお助けください。 (85,86節)

⇒ 厳しい試練と迫害の中でも、主に忠実に信頼を寄せる信仰者。 

  この「コフ」と言われる段落は、11番目になり、前半の終わりとなります。ユダヤのアルファベットは22文字ですので、半分が終わったことになります。詩人の生きていた厳しい現実ただ中で、彼は、高ぶる者に命を狙われ、落とし穴を掘られ、迫害を受けています。それでもくり返し、この詩篇では、信仰の告白がなされます。

81節「わたしはみ言葉によっての望みをいだきます。」

83節「なお、あなたの定めを忘れませんでした。」

84節「あなたの戒めはみな真実です。

彼らは偽りをもってわたしを迫害します。」

わたしをお助けください。

87節「しかし、わたしはあなたのさとしを捨てませんでした。」

 

4) 87 彼らはこの地において、

ほとんどわたしを滅ぼしました。

しかし、わたしはあなたのさとしを捨てませんでした。

88 あなたのいつくしみにしたがって

わたしを生かしてください。

そうすればわたしはあなたの口から出る

あかしを守ります。         (87,88節)

⇒ あなたのいつくしみにしたがって、わたしを生かしてください!

  わたしたちの最後の望みは、「主の愛しみへの信頼」ですね。

ハレルヤ!この言葉は159節でもくりかえされます。

 

【祈祷】主よ、今日は、詩篇119篇の「コフ」の段落を学びました。厳しい敵の圧迫の中にありつつ、また、自分も年老いて、煙の中の革袋のようになり、僕の残りの日数をどれほどですかと祈りつつも、その魂は、神の救いと御言葉とその慈しみへの信頼の告白をしています。わたしどもの生涯も、あなたへの信仰を、最後の最後まで持って歩み行かせて下さい。10月のオープン・チャーチの働きを祝し、救われる者を起こしてください。コロナの終熄と、ウクライナにも平和をお願いします。御名によって。アーメン